2014 年5 月25 日(日)にスクワール麹町(東京・四谷)で第1 回コミュニティファーマシーフォーラム「地域とともに歩む薬局~ドイツと日本における実践~」が開催されました。
幕開けは、日本の完全医薬分業を求めた活動をなさっている永井恒司先生(公益財団法人永井記念薬学国際交流財団理事長)の特別講演。「薬剤師の職能の主軸は調剤であり、その主要点は処方監査です。処方監査とは、単に処方箋通り薬を取りそろえることではなく、薬の使用状況、薬物療法の効果や副作用の評価などを通じて、“医師への処方提案・変更“を含めたものを指します。それを行うことによって、安全な薬物療法を提供することにつながりますし、それが医薬分業における薬剤師の本質的な役割ではないでしょうか」と力強く説く永井先生の話に参加者は真剣に耳を傾けました。
ドイツからは南独の街で薬局を経営するアッセンハイマー慶子先生(セントラルアポテーケ 開設者)が来日。茨城県で薬局を経営する篠原久仁子先生(有限会社フローラ 代表取締役)とともに、それぞれの地域での取り組みを紹介しました。
アッセンハイマー先生は、「ドイツにおいても少子高齢化が進んでいます。2004 年の医療改革で、薬業界も厳しい状況になっています。しかし『薬局の使命は国民の健康を守ること』という考えの下、街の科学情報相談所として地域の中で確固たる地位を確立しています」と説明したうえで、「ドイツでは薬局の機能をアピールするために、『薬局の日』にそれぞれの薬局が地域住民に対してさまざまなイベントを実施しています。日本の薬局や薬剤師は素晴らしい。もっと自分たちのことをアピールしてみてはいかがでしょうか。」と日本の薬局を激励しました。
茨城県水戸市を中心に店舗展開するフローラ薬局は、薬草ハーブ園を併設し、薬膳料理教室を行っている薬局、ドライブスルーやエステルーム等を設けた薬局など、ほかの薬局にはない店舗をつくることで、調剤報酬改定などで薬局経営が難しくなっている時代になっても地に足のついた堅実な経営を行っています。篠原先生は「地域住民から必要とされる薬局、薬剤師になるための第一歩として、自分をかかりつけ薬剤師にしてくれる患者さんを持つことから始めましょう」とメッセージを送りました。
また、ランチョンセミナーでは、薬局のセルフメディケーション支援ツールとして注目されている血糖自己測定(SMBG)を実施し、参加者が測定器を用いて食事の血糖への影響を体験しました。一方、提示会場では、薬局でできる健康支援の例としてアロマオイルを使用したハンドケア体験や健康食品の味見、その他医療機器のお試し、ドイツ薬局関連製品などを紹介した展示会場も大いに賑いました。最後に吉岡ゆうこ理事長が「行きつけ薬局を持とう!行きつけ薬局を作ろう!」と声高く宣言し、第1回フォーラムは大盛況の中締めくくられました。
フォーラムに参加し、会場を熱気に包んでくださった皆様本当にありがとうございました。