■ 第9回ドイツ薬学視察旅行2023・ご報告

2023年9月25日(月)から30日(土)、18名の薬剤師と1名の管理栄養士と共に、ドイツ薬学視察旅行に行ってきました。4年ぶりのドイツ、ドイツは変わったのでしょうか。

まず行く前ですが、視察費が大幅に上がりました。飛行機代、燃料代、ホテル代、人件費が高騰していました。円安ユーロ高の影響も大きく、日本の円の弱さをひしひしと感じました。私は2003年からからほとんど毎年ドイツに行っているのですが、4年ぶりのドイツではそれにも増して感じることが多かったです。

ドイツではエコなど環境に対する意識や健康に対する意識(ヘルスリテラシー)が高まっているなと思いました。ドイツに行くと美味しいビールが楽しみなのですが、ドイツのビールは法律で規制されており、麦芽とホップと水しか使えません。飲みやすいですし悪酔いしません。一般的には、ラガースタイルの「ピルスナー」、「ヴァイツェン(白ビール)」、ドウンケル(黒ビール)」と3種類あります。今回お店に行くとそのドイツビールに全てノンアルコール(4年前はなかった)のものが用意されていました。それからノンカフェイン、ベジタリアン、ビーガン用の食べ物等が用意されていました。アッセンハイマー氏曰く、ヘルスケア志向の高まりのせいだと言います。それからホテルについてですが、ロックダウンの間にホテルを改修したところが多く、今回行ったホテルの一つヒルトンは、改修でバスタブをなくし全室シャワーのみにしました。ドイツ国民も環境に関する意識が強くなり、アッセンハイマー氏曰く、ドイツ国民もバスタブはほとんど使わなくなり、シャワーしかしないという家も増えているということでした。レストランでも日本のように水はだだではありません。

 

薬局についてですが、ドイツの薬局は、2009年以降ずっと減少し続けています。4年前行った時にもそれは感じていたのですが、この4年間のコロナ禍で、なお加速したようです。今回行ったハイデルベルクの旧市街の通りでは2店舗閉店していました。今までならば、薬局のオーナーが歳をとって続けられないとなったら、そのお店を営業権ごと売りに出します。買い手がつくと、暖簾分けのような形で、薬局の名前は変わらずに次のオーナーが引き継いで薬局を経営します。しかしながら昨今では買い手がつかなくなったようで、やむなく薬局は閉店し、他の業態に変わっていました。それというのも、この4年間で物価は高騰しているにもかかわらず、(ガソリン代は日本の2倍でした)、薬の価格は法律により据え置かれ、その分薬局の利幅が狭くなり、薬局経営が厳しくなっているということでした。ハイデルベルク大学薬学部の教授のお話では、薬学生も薬局には行きたがらず、給与のよい製薬メーカーや研究所等に行き、薬局では人手不足を招いている、そして薬局も外国人労働者や移民を受け入れているという話も出ました。かって2万軒ほどあった薬局数が今では17,000軒ほどになっています。国では12,000軒あれば良いだろうと言っているそうです。

 

ヨーロッパ最大の薬局見本市エクスポファーマにも行きました。2015年に行ったエクスポファーマと比較して、I T化や機械化の面ではそんなに変わっていませんでしたが、一つ目を引いたのが3Dプリンターによる製剤化の機械です。患者ごとにAという医薬品何mg、Bという医薬品何mg、Cという医薬品何mgと入力すると、機械がその薬(散剤)をピックアップして混合し錠剤(1錠)にしていくというものでした。ファーマシーバージョンということで、小型化されていました。今は製薬会社が作る錠剤(パターン化)されたものに人間の体を合わせていますが、個別対応した機械をドイツの会社が作っていました。今日本ではポリファーマシー等言われていますが、将来的には個別に1錠に詰め込むという考え方もありうるのかなと思いました。それからドイツの介護施設では重度の人に対して、水剤(シロップ)がよく使われています。介護士がスポイトで吸い取って口の中に入れてあげるというものです。その水剤を混ぜて1回分を作るという機械も見ました。日本にも全自動の水剤混合マシーンはありますが、1回分ごとに作るというのではなく、例えば1週間分を作ります。ドイツではその1回量を、コーヒーについてくるミルクのようなケースに入れていくというものでした。時代の先行く姿も垣間見ることができ、ちょっと明るい気持ちになれました。

 

ドイツ薬学視察旅行は、いつも通り、ドイツの薬局、病院、大学薬学部、ドイツ薬事博物館、そして今回はエクスポファーマ、4711という香水(オーデコロン)の店を視察しました。
変わらなかったものそれは、長い医薬分業の歴史のなかで、アッセンハイマー氏が言う「ドイツの薬局はオールかかりつけ薬局」という姿でした。

 

日本もドイツの薬局のように減少していかないように、食い止めなければなりません。いつもアッセンハイマー氏は言います。ドイツのようにはならないでね。と。

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