■ 第10回コミュニティファーマシーフォーラム開催報告

2023年7月23日(日)、第10回コミュニティファーマシーフォーラムを秋葉原コンベンションホールで開催しました。10周年の記念となったフォーラムは4年ぶりに通常形態での開催となり、99名の方が会場に参加されました。さらに、コロナ禍で培った配信体制も活用しての会場とWEBのハイブリッド開催とし、会場まで足を運ぶことが難しい方にも多くご参加をいただきました。

昨年のフォーラムのメインテーマ『グレート・リセット〜DXで可能となる『多職種連携&未来の薬局』から続き、今年は、薬局におけるデジタル技術の活用と未来志向をさらに深化させるべく『未来薬局×ロボット調剤』とのメインテーマを掲げ、医療DX、電子処方箋、調剤の効率化、処方薬のネット販売等、今私たちが目を向けるべき数々の課題について、考察を深める1日となりました。

講演に先立って、代表理事の吉岡ゆうこ氏が挨拶、JACPの10年間の歩みを簡単に振り返るとともに、今後の予定をお話ししました。

 

特別講演Ⅰ
午前中の特別講演1では、当協会理事の乾賢一氏が座長を務め、厚生労働省医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室室長の杉山朋宏氏による「医療DXの取組みについて」、神戸市立医療センター中央市民病院院長補佐の橋田亨氏による「ロボットとDXを使って薬剤師の未来を拓く」の2題の講演がありました。

杉山氏は、国が今まさに進めている医療DXの内容と進捗状況、そして電子処方箋など薬局業務に直結する施策等について、具体的な工程表を示してご説明くださいました。薬剤師として病院内のDXを積極的に進めてきた橋田氏は、病院全体の業務のデジタル化や機械化から調剤室のロボット化の概要とその効果を報告、得られた時間を使って薬剤師がファーマシスト・サイエンティストとして、医療の発展に貢献する未来をお示しくださいました。

デジタルやロボットの導入が薬剤師の力を発揮する機会の創出につながることを思うと、身が引き締まる思いがいたします。

ランチョンセミナー
昨年はランチの提供は控えましたが、今年はようやく叶いました。栄養バランスのとれた薬膳配弁当を試食しながら聞く講演は、演出家でコミュニケーションデザイン学の研究者でもある蓮行氏からです(座長は当協会理事の末澤克己氏)。今年5月5日に大阪で開いたコミュニティファーマシーフェスタでのワークショップの模様の報告など、薬局だからこそできる地域住民の健康増進につながるコミュニケーションのヒントをいただきました。

 

食後は、ポスター発表や企業の出展ブースの閲覧や、久しぶりに会える仲間の交流の時間として、皆さん有意義に過ごされました。

 

特別講演2
午後の最初の講演は、特別講演2として、(公財)川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンターセンター長の片岡一則氏による「夢を形に!ナノテクノロジーで創る体内病院〜病が気にならない社会を目指して」です。座長は引き続き乾賢一氏が務めました。最先端のDDS事例の報告と、未来には、検査、診断、治療といった医療機能を集約させたナノマシン「体内病院」を実現するというお話に、大きな希望を持つと同時に、その未来では薬局が医療の窓口として重要な役割を果たしたいと、意欲も湧いてきました。

 

基調講演
続く基調講演は、当協会理事の浜田康次座長のもと、調剤の機械化や外部委託等、現在進行中の課題をめぐる3演題が展開されました。

調剤の機械化に大きな貢献をしてきたメーカー、株式会社ユヤマの学術部部長・森和明氏からは、同社の調剤機器の変遷とその効率化効果について、イイジマ薬局開設者の飯地裕也氏からは、日本BD社製自動入庫払出システムやデジタルシェルフの導入報告、株式会社サンキュードラッグの平野健二社長からは、自身の何度もにわたる視察経験からのアメリカの調剤外部委託状況報告と今後の提言を講演いただきました。いずれの講演も、効率化の先に薬剤師の専門スキル活用の充実を見据えたものでした。

3つの講演の後にはこの3名をパネラーに、ロボット調剤の定義や未来薬局の姿について、会場参加者も巻き込んでのパネルディスカッションが盛り上がりました。

 

FIPプログレスセミナー
休憩を挟んで最後の講演です。FIP(国際薬剤師・薬学連合)が定めた開発目標「デベロップメントゴールズ(DGs)」について、当協会理事の山村重雄氏から紹介していただきました。FIPのDGsは、薬剤師や薬学に関わる人材が、世界や地域のために、どんなことをしていくべきなのかをまとめたもので、2020年9月に発表されました。この日本語翻訳版作成には当協会役員も協力し、FIPのホームページにも掲載されています。

 

ポスター発表〜フォーラム宣言
いよいよ、フォーラムも閉幕に近づきます。会員のポスター発表に贈られる第10回コミュニティファーマシーアワードは、株式会社ユニスマイル・加藤拓也氏の「フォローアップを介してみえた生活課題へのアプローチと薬局機能の拡充」に決まりました。服薬フォローアップでの健康指導についての報告により、薬剤師が進むべき道のひとつを示したとの評価です。

 

続いて、5月5日の大阪でのコミュニティファーマシーフェスタの動画を放映、地域に根差した薬局が果たすべき役割を再度噛みしめました。

最後に、当協会理事の篠原久仁子氏より、今後1年の私たちの目標となるフォーラム宣言を発表しました。第10回のフォーラム宣言は「リ・ボーン(reborn)、覚醒せよ、薬剤師!」です。そして、来年2024年7月21日(日)に、第11回コミュニティファーマシーフォーラムを開催する予定であることをお伝えし、1日にわたったフォーラムは無事終了しました。

■今回のフォーラムへの出展・協賛企業はこちらでご覧いただけます。

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