ドイツの夏休み
皆様、初めまして。ドイツの片田舎、ロッテンブルクで薬局を経営しておりますアッセンハイマ―慶子です。
ドイツで28年間暮らしてきて見えたことを専門分野からだけでなく文化・習慣面からもいろいろとお伝えした
いと思います。
ドイツは連邦州制で、州によって夏休みの始まる日が違います。休み始めをずらすことにより、交通機関、宿泊・行楽施設が集中的に混雑することを避けています。今年は早い州で7月7日から、遅い州で7月31日から約6週間の夏休みが始まります。ドイツでは天気が変わりやすく、夏でも日中最高気温が十数度の寒い日が続くことがあります。冬も寒く長いので、夏期休暇の目的地には海水浴ができ晴天の続く南ヨーロッパが好まれています。夏休みの宿題はほとんどなく、お母さんたちにとっては子供たちにこの間何をさせて過ごさせるかが悩みの種です。フルタイム勤務の被雇用者には年に約30日の有休休暇があり、多くのドイツ人が夏に2-4週間の休暇をとります。夏に長期で休みを取らないと年内に有休を消化しきれないのです。職場では、学童のお子さんを持つ人から優先に夏の休暇を取る時期を決めます。薬局のスタッフも交代で休暇を取ります。
町の医院も2-4週間、休暇のために閉まります。夏休み開始前後2週間くらい、ドイツの薬局は大変忙しくなります。患者さんの長期旅行、医院の休診期にあわせて処方量が多くなるからです。目的地にあった日焼け止め製品・旅行用医薬品の指導やセット、予防接種プラン設定もこの時期大切な薬局の仕事になります。出発ぎりぎりで必要な医薬品を注文される患者さんもいるので、1日数回の卸への注文に間違いがなく、次の配送で確実に注文品が薬局へ届くよう、この時期は特に気を遣います。ドイツの薬局は通常2社の卸と契約を結んでおり、1社に在庫がない場合は他社に注文してできるだけその日のうちに注文品が届くようにします。卸からの配送車は平日の開局時間帯には3-4時間間隔で3-4便、夜中に1-2便来ます。夜中は薬局の医薬品納品口に入れておいてくれます。薬局で販売する日焼け止め製品は4月末くらいから需要が多くなります。過度の日焼けが肌の健康を損ねることはきちんと認識されているのですが、程よく日焼けして休暇に行ってきたことはアピールしたいようです。ドイツ人女性は日焼け肌をあまり気にしません。そのせいでしょうか、ドイツでは美白用化粧品、日傘の存在感が薄い気がします。
長い休暇中に宿泊地を頻繁に変えることはせず、多くのドイツ人は1か所にとどまりのんびりと時間を過ごします。小中高の新学年は8月中旬から9月中旬までに始まり、夏休みに日焼けした元気な顔が教室に揃います。大人も子供も夏の休暇で心身共にリフレッシュして、また勉学、仕事に励みます。