ドイツの2月はカーニバルとかぜ患者で大忙し
カーニバルと聞いて、まず誰もが思い浮かべるのが華やかな衣装とサンバのリズムで有名なリオのカーニバルだと思います。ドイツでは、冬を追い出す行事として、各地で賑やかに催され、お面や衣装を着けた人達が町を練り歩きます。今年は、2月12日から関連行事が始まりました。
ここロッテンブルクのカーニバルは州内でも有名で、大行進のある日には市内だけでなく、他の都市からも大勢参加者、見物者が集まります。ロッテンブルク市内の学校は、この時期、約1週間ファースネット休みです。メルマガを続けて読んでくださっている方は、「あら、また学校がお休みなの?」と、お思いになるでしょう。学校だけではありません、医院もお休みを取るところがあります。「えーっ! 医院も?」という声が聞こえてきそうです。期間中、奇抜な仮装をした院長先生に町でお会いすると、ちょっと照れくさそうにしていらっしゃいます。ロッテンブルクっ子にとっては、大人も子供も、待ちに待ったファースネット。金曜日から始まるこの学校休みは、前日の木曜日に仮装して学校へ行き、やはり仮装した先生方と一緒に楽しく賑やかにすごすことで始まります。もちろん、この日の授業はありません。子供達は、今年はどんな衣装を着て行こうかと、何週間も前から思案します。
伝統行事であるファースネット。メインの大行進に参加できる会員制の協会や連盟は、地区ごとにいくつもあり、それぞれオリジナルの仮装用衣装を持っています。会員でなくても、アイデアを凝らした自作の衣装や着ぐるみで、このお祭りに参加される人達もいて、見ていて楽しいものです。地区のファースネット会員であり、仕事を持ったロッテンブルクっ子は、この時期、いかにして休暇をもらうかに苦労します。かぜの流行るこの時期、薬局は忙しく、スタッフの誰にでも気前よくお休みをあげるわけにはいきません。
ファースネット期間、薄着の衣装で長時間外にいたり、着ぐるみが暖か過ぎて汗をかいたりして、その後、寒気にさらされて、かぜをひいてしまう人が続出します。昨年、2013/14年の冬は、温暖でインフルエンザはあまり流行りませんでした。有名な細菌学者の名前を冠したドイツ連邦保健機関、ロベルト・コッホ研究所の統計によると、今季は、1月中旬から、急にインフルエンザ感染者数が増えました。流行型は日本と同じくA香港型、H3N2ですが、H1N1型感染者も1月末より増えています。国の保健衛生を目的とする同研究所は、疾病研究・統計、感染症予防の啓発、情報提供などを行っています。薬局のコンピュータでは過去3年分の月別売り上げ統計が、品目ごとにひと目で見られるようになっています。かぜの治療に必要なOTC医薬品の売れ行きを見ると、その冬の流行状況がつかめます。
「熱はすぐに下がったのに、かぜをひいて以来、咳が止まらなくて困っています。」という患者さんが多く、薬局のスタッフは集中力を要して、相談販売にあたります。併用薬やアレルギーの有無、咳の状況などを聞いて、一番適当と思われるOTC医薬品を勧めます。場合によっては、できるだけ早く医院へ行くことも促します。
ファースネット休みが終わり、かぜの時期が過ぎると、日が長くなり、暖かい春が待ち遠しくなります。復活祭(はい、また学校休みです!)までもうすぐです。