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ドイツPTA便り-21

ドイツPTA便り
21
著者
アリーン・フォーゲル

●ドイツPTA便り-21

ドイツにおけるPTAの養成

 

2019.01.21

 

2018年夏には、日本へ行く機会に恵まれました。私の職業であるPTAについて、当日本コミュニティファーマシー協会が開催するフォーラムで発表することができたばかりでなく、日本での休暇を楽しむこともできました。その後も、ドイツにおけるPTA養成について、いろいろと質問がありましたので、今回は、同テーマにてお話しいしたいと思います。

PTAとは、Pharmazeutisch(薬学)-technische(技術) Asistenten(アシスタント)の略です。国によっては、テクニシャンとも呼ばれています。ドイツでこの国家資格を取得するには、まず、Mittlerer Schulabschluss (Mittlere Reifeとも呼ばれています。日本で言えば高校1年終了)という学歴が必要です。養成期間は2年半で、PTA専門養成学校における2年間の履修と、半年の薬局実務実習からなっています。

ドイツ全土には、約100校の公立もしくは私立のPTA専門養成学校があります。いずれの学校に通っても、国家試験を受け、合格すれば、PTA資格を取得できます。

1学年目では、次の科目を履修します :

    ・薬理学

    ・植物学

    ・薬物学

    ・製剤学

    ・業務に必要な算術(数学)

    ・物理学

    ・危険物学

    ・一般教養学科

講義では、化学、製剤学、植物・生薬学や薬理学といった現場で実際によく使う学科を中心に理論の勉強をしていきます。また、各学科で得た知識を実際に使う訓練、すなわち、実習にも多くの時間が割かれています。化学物質を分析したり、軟膏の調合を行ったり、植物の様々な構成部分を顕微鏡下で観察し、同定したり類似植物の混合の有無を調べたります。

2学年目では、次に挙げる学科に加え、医療用品(Medizinprodukte)についても、より多く学んでゆきます。

    ・栄養学

    ・薬理学

    ・化学

    ・危険物学

    ・薬局業務、業務用コンピュータの使用法

このように、さまざまな学科を学びPTA養成課程を完結してゆきます。薬局業務の講義では、処方箋業務に必要なレセコンの使い方を習います。ロールプレイ方式で、患者さんやお客様との面対応業務の仕方も学びます。服薬指導や相互作用の説明、健康アドバイスに慣れておくためです。PTA専門養成学校での履修が終わると、国家試験を受けるために、半年間の薬局における実務実習が義務付けられています。

実務実習では、患者さんとのコミュニケーション、服薬指導などをしっかり訓練します。薬局のラボで行う確認試験や分析、個人に合わせて処方された医薬品の調合に、学んだ知識と技術を活かし、確実に業務がこなせるようになるのも、この期間に大切な実習生の課題です。

実習生は、実務実習期間が終わるまでに、Tagesbuchという実習レポートを書き上げ、自身が通うPTA養成専門学校に提出し、採点してもらうことが義務づけられています。生薬や原末の確認試験結果や薬効成分グループのまとめ、OTC医薬品の相談販売法、サプリメントや栄養食品などの選び方とその使用法などのテーマについてレポートを作成します。

実務実習が終了すると口頭試験であるPTA国家試験が待っています。連邦州ごとに国家試験が行われます。合格すれば、国家資格であるPTAを名乗ることができます。

PTAの職業を選んだおかげで、日本に行け、多くの方々の前で、大好きな仕事についてプレゼンテーションをさせていただけたのを本当に嬉しく思いました。日本は、素晴らしい国です。是非、もう1度行きたいと思っています。

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