咳の症状のある患者さんへのOTC医薬品相談販売
今回は咳の患者さんへ、処方箋なしで販売できるOTC医薬品についてお話しいたします。これらのOTC医薬品の相談販売もPTAの仕事です。
ちょうど、カゼが流行る時期。咳に関する相談が多くなります。軽い症状の患者さんの多くは、医院での診察予約や待ち時間が長くなることを避けるため、まず薬局にいらっしゃいます。長引かず軽度の咳なら薬局で適切な対応ができます。
★急性期で痰が絡むという患者さんには
タイム(Thymus vulgaris)葉エキスとプリムローズ(Primula officinalis、Primula elatior)根エキスの入った合剤のOTC医薬品をお勧めします。
タイム葉エキスには、下記の作用があり様々な去痰薬に配合されています。
気道の粘液分泌促進
線毛運動促進
気管支拡張
抗炎症
軽い抗菌
プリムローズ根エキスには、次に挙げる作用があります。
気道の粘液分泌促進
線毛運動促進
上記2成分配合の去痰薬には、エリキシル、シロップ、トローチ、カプセルなどの様々な剤形があり、製品によっては生後6か月以上の乳幼児へも投与できます。
その他、薬局でよく買い求められるものにツタ(Hedera helix)葉エキスの入った製品があり、剤形も多様です。ツタ葉エキスには、去痰作用だけでなく気管支拡張作用があります。シロップは1歳以上の乳幼児から使えます。
入手に処方箋のいらない合成成分の入ったOTC医薬品の去痰薬もあります。アセチルシステインやアンブロキソール配合の製品などです。
痰の絡む咳には、患者さんの希望でホメオパシー成分合剤も販売します。シュスラーザルツェ(Schüßler-Salze)と呼ばれるシリーズのうち、抗炎症作用、去痰作用のある4番を合わせて使用できます。
咳止め、去痰には充分な水分補給も大切なので、ハーブティー(単剤やミックス)もお勧めします。よく配合されるハーブにはボダイジュ(Tilia platyphyllos)花、タイム葉、ヘラオオバコ(Plantago lanceolata)などがあります。
のどの不快感、イガイガ感をおさえるハーブエキス入りのど飴も好評です。セージ(Salvia officinalis)葉エキスの入ったものが定番です。免疫力を補助し回復促進につながるビタミンCや亜鉛製剤も冬にはよく出ます。
★痰の絡まない空咳の患者さんには
ウスベニタチアオイ(Althaea officinalis)根エキスの入った製剤や百日ぜきの鎮咳にも適用のあるホメオパシー製剤をお薦めします。このホメオパシー製剤のシロップには、Dorosera、 Hedera helix、 China、 Coccus cacti、 Cuprum sulfuricum Ipecacuanha、hyoscyamusという成分が含有されています。
合成成分では咳中枢の反射を抑制するペントキシベリンやデキストロメトルファンの入ったものがOTC医薬品の鎮咳薬として購入できます。不快な咳を少しでも和らげるよう、ここでも、のどの粘膜を潤すのど飴をお勧めします。
どのような咳であれ1週間たっても改善の見られない場合や、悪化する場合は医師の受診を勧めます。咳が治まらない原因をはっきりさせ、肺の状態を検査し、場合によっては抗菌剤などの処方が必要となるからです。
OTC医薬品相談販売の際には、禁忌や相互作用をチェックするため、患者さんが日常使用している医薬品に関して質問をします。患者さんができるだけ早く薬局へ相談しにくることで、受診せずに済んだり、抗菌剤の使用や重症化を避けることが可能になります。