平成28年度調剤報酬改定の方向性
2016年、新しい年が始まりました。2016年は「発信!発進!コミュニティファーマシー」の年にしていきましょう。
私は昭和56年から調剤に携わっていますので、かれこれ30年以上、調剤報酬改定と薬局、薬剤師業務の変化を見てきています。2年に1度の調剤報酬改定研修時に必ず言う言葉が2つあります。
1 調剤報酬改定の話が出る頃には、準備が終わっていなければならない
調剤報酬改定時は2年後の調剤報酬改定の準備の始まりの時である
2 最も強い者が生き残るのではなく、最も賢いものが生き延びるのでもなく、
唯一生き残るのは変化するものである
2016年1月13日中央社会保障医療協議会総会にて「平成28年診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(現時点の骨子)」が出されました。今までの協議会の経緯を見ていて、盛り込まれそうなことは認識していましたが、「現実にこれは盛り込まれたか、これはどのような要件になるのか」というのが、今の実感です。
長文のものですが、調剤報酬と薬局にも関係する外来の診療報酬、在宅の診療報酬も抜粋してまとめたものを用意しました。
4月1日を迎えるにあたっての準備の一助としてください。「現時点の骨子」を読むにあたり、目先の2016年4月1日からのことだけでなく、「改定に当たっての基本認識」や「改定の基本的視点と具体的方向性」も熟読し、変わらなければいけない部分は実践してください。JACP会員の皆様は、準備は怠らなかったと確信していますが、2018年に向けての次の準備は、JACPの各セミナーの中で解説していきます。
次期改定では、厚生労働省の「患者のための薬局ビジョン」に掲げられた「かかりつけ薬剤師・薬局」機能と、「対物業務から対人業務への移行」が色濃く見られます。特に在宅医療と薬学的管理業務(残薬や重複投薬、不適切な多剤投薬・長期投薬を減らすための取組含む)に焦点があてられています。現在パブリックコメントを募集中で、その後骨子が出されますが、改定の方向性は示されましたので、3月までの間にやること(在宅の実践、お薬手帳持参率や後発医薬品調剤率アップなど)に取り組んでください。CP(コミュニティファーマシー)化は、調剤という基盤があって初めて成り立ちます。
<改定の方向性>
1)基準調剤加算
・算定要件に在宅訪問の実施、開局時間、相談時のプライバシーへの配慮などが求められる
・集中率が高く、後発医薬品調剤率が低い保険薬局については、
基準調剤加算が算定できなくなる
2)かかりつけ薬剤師・薬局機能、対人業務
・医師の初診料、再診料の考え方のように、
1回目と2回目以降では薬学管理料に差がつけられる、
またお薬手帳を持って来た方が安くなる
・かかりつけ医が地域包括診療料や地域包括診療科加算を算定している患者に対して
かかりつけ薬剤師機能を果たす場合は、調剤料、薬剤管理料が包括(まるめ)になる
仕組みが考えられている
・お薬手帳は電子版でも算定可
・残薬や重複投薬、不適切な多剤投薬・長期投薬を減らすための取組が評価される
・一方、変化しない、努力しない薬局は下げられる
「かかりつけ薬剤師・薬局の評価」「在宅薬剤管理指導業務の推進」「対人業務の評価の充実」に係る調剤報酬の算定回数を踏まえ、かかかりつけ機能に係る業務を一定期間行っていないと判断される薬局については評価を見直す。
3)在宅薬剤管理指導業務
・疑義照会による処方変更が評価される
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所している患者への薬学的管理が評価される
・薬剤師1人が行う算定制限と、同一世帯に居住している複数の患者に対しての
算定要件は見直し
4)後発医薬品の更なる使用促進
・新たな数量シェア目標値を踏まえ要件が見直される。
・処方医に対しては、一般名での処方を促進するための評価がある
・処方時に後発医薬品の銘柄を記載した上で変更不可とする場合には、
処方せんに理由記載が求められる。