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JACP医薬品情報室-18

JACP医薬品情報室
18
著者
蔵之介
● JACP医薬品情報室だより 18
がん疼痛治療薬(ナルラピド&ナルサス)

 

2017.10.06

 

2017年6月19日、がん疼痛治療薬のヒドロモルフォン塩酸塩製剤、ナルラピド錠(即放性)とナルサス錠(徐放性)が発売されました。

ヒドロモルフォンは、1920年代にドイツで合成された選択的μ オピオイド受容体作動薬です。モルヒネより強力な強オピオイド鎮痛剤で、世界45の国と地域で使用されています。WHO(世界保健機関)や欧州緩和ケア学会(EAPC)等のガイドラインで、モルヒネやオキシコドンと同様に標準薬とされ、オピオイドスイッチングに欠かない薬として位置付けられています。日本緩和医療学会および日本緩和医療薬学会から早期開発・承認の要望書が提出され、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検会議」において医療上必要であるとされました。
ナルラピド錠は、服用後15~30分で作用が発現し、突出痛にレスキュー薬として用いられます。narcotic(麻薬)+rapid(急速)からナルラピドと命名されました。ナルサス ®錠は、持続的な疼痛に1日1回で定時投与されます。narcotic(麻薬)+sustain(持続)からナルサスと命名されました。ヒドロモルフォンは、チトクロームP450(CYP)の代謝は受けないので、CYPによる薬物相互作用の可能性は低くなります。
経口投与の効力比は、ヒドロモルフォン6mg=モルヒネ30mg(1:5)になります。ヒドロモルフォンは腎機能障害、肝機能障害患者への投与で血中濃度に変動があり、薬物間相互用も各オピオイド間で異なるため、オピオイドスイッチング時は、投与量に注意する必要があります。現在、新たな剤形として、注射剤が申請中です。

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい。

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