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JACP医薬品情報室-23

JACP医薬品情報室
23
著者
蔵之介
● JACP医薬品情報室だより 23
DPP-4阻害薬/ビグアナイド系薬配合糖尿病治療薬(イニシンク錠)

 

2018.04.22

 

2016年9月、選択的DPP(ジペプチジルペプチダーゼ)-4阻害薬のネシーナ錠(一般名:アログリプチン安息香酸塩)とビグアナイド(BG)系薬のメトホルミンを配合したイニシンク配合錠が発売されました。DPP-4阻害薬とBG系薬の配合薬には、エクア錠(一般名:ビルダグリプチン)とメトホルミンを配合したエクメット配合錠があります。エクメット配合錠は1日2回ですが、イニシンク配合錠は1日1回の服用になります。

イニシンク配合錠は、インスリン分泌促進系のDPP-4阻害薬とインスリン抵抗性改善系のBG系薬の組み合わせです。DPP-4阻害薬は、糖濃度依存的にインスリン分泌を促進し、グルカゴン分泌を抑制します。一方、BG系薬は、肝臓からのグルコース放出を抑制するとともに、筋肉を中心とした末梢組織でのグルコースの利用の促進、脂肪組織へのグルコースの取込みなどによりインスリン抵抗性を改善します。両剤は相加的に血中GLP(グルカゴン様ペプチド)-1 濃度を上げる作用があると考えられており、併用療法は各薬剤の単独療法を上回る血糖降下作用が期待されます。また、DPP-4阻害薬の GLP-1を介したインスリン分泌促進作用は血糖依存性であることと、BG系薬の血糖改善作用はインスリン分泌促進を介さないことから低血糖の発現リスクも低いと考えられます。また、併用療法により服用回数及び薬剤の錠数を減少させ、アドヒアランスを向上させることが期待されています。

承認時までに2型糖尿病患者に本配合薬を投与した臨床試験は実施されていませんが、ネシーナ錠、メトホルミンにおいて、重大な副作用として、乳酸アシドーシス、低血糖、急性膵炎、肝機能障害、黄疸、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、横紋筋融解症、腸閉塞、間質性肺炎、類天疱瘡が報告されています。なお、海外では2013年から販売されています。

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい

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