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JACP医薬品情報室-25

JACP医薬品情報室
25
著者
蔵之介

●JACP医薬品情報室だより 25

グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬(リンゼス錠)

 

2018.06.24

 

2017年3月、グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬のリンゼス錠(一般名:リナクロチド)が発売されました。下痢型IBS治療薬としては5-HT3受容体拮抗薬のイリボー錠(一般名:ラモセトロン塩酸塩)がありますが、便秘型IBSとしては日本で最初の適応になります。

過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は、ブリストル便形状尺度に基づいて、下痢型(IBS-D)、便秘型(IBS-C)、混合型(IBS-M)、分類不能型(IBS-U)の4タイプに分類され、男性は下痢型、女性は便秘型が多いという特徴があります。リンゼス錠は、14個のアミノ酸からなるグアニル酸シクラーゼC受容体作動薬です。腸管の表面にあるグアニル酸シクラーゼC受容体を活性化することにより、細胞内のサイクリック GMP濃度を増加させ、腸管分泌促進作用、小腸輸送能促進作用、および大腸痛覚過敏改善作用を示します。

同じ粘膜上皮機能変容薬に分類されるアミティーザカプセル(一般名:ルビプロストン)の作用機序はクロライド・チャネルの活性化、適応は慢性便秘症、副作用は下痢と悪心、妊婦は投与禁忌になります。これに対しリンゼス錠は腸管内の水分を増やす点は同じですが、腹痛・腹部不快感を改善するので、便秘型IBSの適応を取得しました(慢性便秘は申請中)。主な副作用は下痢で、妊婦には禁忌ではありません。吸収性は低く、ほとんど検出限界以下です。食後投与により軟便、排便回数が多くなったため、用法は食前投与になりました。吸湿性のため、無包装状態での保存や錠剤の一包化は避けます。小児適応は使用経験がないためありませんが、2 歳以下の乳幼児は、成人に比べて重篤な下痢のリスクが高まるおそれがあります。なお、海外では18歳未満は枠組み警告(Boxwd Warning)になっています。 

*IBS with diarrhea, IBS with constipation,mixed IBS,unsubtyped IBS

使用に際しては、添付文書を必ずお読みください。

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