●JACP医薬品情報室だより 32
緑内障・高眼圧症治療薬(エイベリス点眼薬)
2019.02.05
2018年11月、選択的EP2受容体作動薬という新しい作用機序の緑内障・高眼圧症治療薬のエイベリス点眼薬(一般名:オミデネパグ イソプロピル)が発売されました。
緑内障治療薬としては、プロスタグランジン(PG)関連薬であるFP受容体作動薬やβ遮断薬が第一選択薬として使用されています。PG関連薬は、ぶどう膜強膜からの房水流出を促進し、眼圧下降率が高く、全身副作用が少ないという利点があります。FP 受容体作動薬には、キサラタン点眼薬(一般名:ラタノプロスト)、トラバタンズ点眼薬(一般名:トラボプロスト)、タプロス点眼薬(一般名:タフルプロスト)、ルミガン点眼薬(一般名:ビマトプロスト)および代謝型プロスタグランジンのレスキュラ点眼薬(一般名:イソプロピル ウノプロストン)があります。
PG(E2、D2、F2α、I2)やトロンボキサン(TX)を総称して、プロスタノイドと呼びます。プロスタノイド受容体は、FP、EP (EP1、EP2、EP3、EP4)、DP、IP、TPの8種類があり、PGF2αにはFP受容体、PGE2にはEP受容体などと、それぞれのサブタイプに対応しています。FP受容体作動薬には、非反応性や低反応性の患者が存在し、色素沈着や睫毛異常伸長などの眼局所の副作用があります。また、β遮断薬には、心臓や呼吸器系の禁忌疾患があります。
エイベリス点眼液は、選択的EP2受容体刺激作用を有するオミデネパグのプロドラッグです。既存の緑内障治療薬とは異なり、シュレム管を経由する線維柱帯流出路(主経路)とぶどう膜強膜流出路(副経路)の両経路からの房水流出を促進します。非PG骨格なので、PG製剤に関連する副作用はありません。