乾癬治療薬(ルミセフ皮下注)
2016年9月、乾癬治療薬のルミセフ皮下注〔一般名:ブロダルマブ(遺伝子組換え)〕が発売されました。乾癬は T 細胞性免疫に基づく慢性炎症性皮膚疾患で、TNF-α→IL23/Th17→IL-17という経路でサイトカインが関与します。ルミセフは、最下流のIL-17受容体Aに作用する世界初の薬です。
乾癬の治療は、軽度から中等度では副腎皮質ステロイドやビタミンD3誘導体による外用療法、中等度から重度では光線療法(紫外線照射)、免疫抑制薬やビタミンA誘導体による内服療法、最重度では、サイトカインをターゲットにした生物学的製剤があり、治療成績は飛躍的に向上しました。
乾癬の病態メカニズムは、①何らかの刺激によりTNF(腫瘍壊死因子)-αが放出され、樹状細胞が活性化される。②樹状細胞はIL(インターロイキン)-12、IL-23などを産生し、③ナイーブTリンパ球をTh(ヘルパーT細胞)-17に分化誘導する。④Th-17は、IL-17A、IL-17F、IL-17CなどのIL-17ファミリーを産生して、皮膚や関節で慢性的な炎症を惹起するという免疫系の過剰反応が考えられています。
炎症性サイトカインを抑制する治療薬として、TNF-α阻害薬(アダリムマブ、インフリキシマブ)、IL-12/23p40阻害薬(ウステキヌマブ)、IL-17A阻害薬(セクキヌマブ、イキセキズマブ)、IL-23p19阻害薬(グセルクマブ、リサンキズマブ)があります。ルミセフは、IL-17Aの受容体に特異的に結合して、IL-17 受容体を介するサイトカインを阻害し、乾癬の多彩な症状を改善します。投与方法は、腹部、上腕部、大腿部などに皮下注射します。免疫を抑える作用があるため、結核、B型肝炎、C型肝炎などの感染症リスク増大に注意します。また、生ワクチン接種による感染症発現のリスクを否定できないため、風疹、麻疹、おたふくかぜ、BCGなどの生ワクチンの接種はできません。