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JACP医薬品情報室-60

JACP医薬品情報室
60
著者
蔵之介
● 医薬品情報室-60
軽症・中等症の新型コロナウイルス感染症治療薬(注射薬)

2022.01.15(改訂)

 2021年7月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗体カクテル療法のロナプリーブTM点滴静注〔一般名:カシリビマブ(遺伝子組換え)/イムデビマブ(遺伝子組換え)〕が、2021年9月、2剤目の中和抗体薬のゼビュディ点滴静注液〔一般名:ソトロビマブ(遺伝子組換え)〕が特例承認されました。
新型コロナの重症度は、軽症、中等症Ⅰ、中等症Ⅱ、重症の4段階に分類されます。COVID-19は、発症後、数日はウイルス増殖が、7日以降は宿主免疫による炎症反応が主病態になります。抗ウイルス薬のベクルリー点滴静注(一般名:レムデシビル)、ステロイド薬のデキサメタゾン錠・注、レムデシビルとの併用で用いられる免疫抑制薬のオルミエントⓇ錠(一般名:バリシチニブ)は、いずれも中等症から重症の治療薬です。ロナプリーブとゼビュディは、感染症の重症化リスク因子を1つ以上有し、酸素投与を要しない、軽症~中等症Ⅰの患者が対象になります。原則、「発症から7日以内に投与」という制限があります。
ロナプリーブは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイク蛋白質に対する2種の中和抗体を組み合わせた製剤です。ウイルスが細胞内へ侵入する際、リガンドとなるスパイク蛋白質と宿主細胞のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体の結合を阻害(中和)し、ウイルス増殖を抑制します。1種類の抗体では、耐性株が出現する可能性があるため、2種類のカクテルになっています(オミクロン株には、中和活性が低下するおそれがあるため推奨されていません)。ロナプリーブは、濃厚接触者や無症状感染者に対する予防投与と皮下投与が適応追加になりました。ゼビュディは、スパイク蛋白質のうち、変異を起こしにくい部位を標的とした1種類の中和抗体で、投与前の混合作業が必要ありません。オミクロン株にも効果があるとされます。両剤とも、国が買い上げて、「登録センター」に登録された医療機関に無償で提供されます。

 

 

医薬品情報局PDF-061

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