メルマガ新着

JACP医薬品情報室-77(2024/6/1)

医薬品情報室
77
著者
蔵之介

● 医薬品情報室-77
経皮吸収型コリンエステラーゼ阻害薬(アリドネパッチ)
2024.6.1

 2023年4月、アルツハイマー型認知症(AD)治療薬の経皮吸収型製剤、アリドネパッチ(一般名:ドネペジル)が発売されました。軽度及び中等度ADに適応のある貼付剤として、リバスタッチ/イクセロンパッチ(一般名:リバスチグミン)がありますが、高度ADに対しては、初の貼付剤になります。なお、経口薬(一般名:ドネペジル塩酸塩)が持つ「レビー小体型認知症」の適応はありません。経口薬と貼付薬で有効成分が異なるのは、ドネペジル塩酸塩の経皮吸収性が劣るため、体内の活性本体であるドネペジルに変更したためです。
 アリドネパッチは、服薬困難や寝たきりの患者にも有用で、食事や併用薬との服用タイミングを考慮するなどの制約がありません。また、投与状況を視認できるので、介護者による服薬管理が容易になります。経口薬は、コリン作動性の胃腸障害を軽減するため、有効用量ではない3mgから開始しますが、貼付薬は血中薬物濃度の上昇が緩やかなため、軽度及び中等度 AD では、ローディングドーズを必要とせず、経口5mgに相当する27.5mgから開始できます。高度ADの場合には、27.5mgで4週間以上経過後に、55mg(経口10mgに相当)に漸増します。下痢、食欲不振などの消化器症状は1~3%未満と、経口薬と同程度に発現します。製剤は、27.5mg(8.1×8.1cm)、55mg(8.9×13.4cm)で、鎮痛消炎剤のモーラステープ(7×10cm)、同L(10×14cm)よりやや小さめのサイズです。適用部位の皮膚症状は、そう痒感(24.9%)、紅斑(24.3%)、接触皮膚炎(12.6%)と高頻度に発現します。連日の貼付・除去により皮膚角質層が剥離し、血中濃度が増加するおそれがあります。このため貼付部位を毎回変更し、同一部位への貼付は、7日以上間隔をあけます。光線過敏症の防止のため、衣服で隠れる部位を選び、剥がした後も貼付部位への直射日光を3週間は避けます。他のコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル塩酸塩、リバスチグミン、ガランタミン)とは併用できません。また、ADによる影響や意識障害、めまい、眠気等などの副作用があるので、自動車の運転等はしないよう指導します。

 

医薬品情報局PDF-77

メルマガ新着

TOPIC月別アーカイブ