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ドイツ薬局便り-12

ドイツ薬局便り
12
著者
アッセンハイマー慶子
● ドイツ薬局便り-12
女性と職業

 

2016.10.04

 

私が日本で薬科大学を卒業した年は、男女雇用機会均等法が施行された年、1986年。これで、昇進も昇給も男女差がぐっと縮まるのかな、と当時思ったのですが、ちょっと考えが甘かった!あれから30年。今年、2016年の4月には、女性活躍推進法が施行されました。30年という世代が交代するほどの時間がたっても、相変わらず女性が働き続けるのは難しいのだと改めて思いました。それにしても失礼な法律名です。女性が全く活躍していないようではありませんか。日本の某政治家は、「女性が輝ける社会に!」というようなことをおっしゃっていましたが、これも「ひどいなぁ」です。日本の女性はしっかり輝いています。ドイツから日本へ帰って、町を歩いたりテレビを視たりして、いつも思うのは、日本には輝いている女性がたくさんいることです。

 

女性が多い職業、薬剤師。出産・育児で仕事から離れることがあっても、頑張って職場復帰してほしいと思います。薬剤師の資格は生涯使える資格ですし、経験を積めば積むほど仕事が楽しくなります。また、育児経験が仕事に役立ちます。薬剤師資格は、国家資格。結婚・出産退職で、その後ずっと引き出しにしまっておく免許ではありません。

 

24時間医薬品供給体制や健康サポート業務に向けて、薬局1日あたりの業務時間が長くなります。お子さんがいても、家を開けられる時間に働くことも可能でしょう。薬局も若い家族を応援する対応をしてほしいですし、シングルの若い薬剤師さん・育児の終わった薬剤師さんが、柔軟に働いて、小さいお子さんのいる薬剤師パパ・ママが早く帰宅できるようにしてくださるとよいのですが…。

 

ドイツでは、出産後3年以内に職場復帰が可能です。出産前と同じ労働時間で働けるなら、雇用者は、復帰者に職場を与えないといけないことになっています。出産・育児休暇後は、午前中だけの勤務を希望するお母さん薬剤師・PTA(テクニシャン)が多いですが、だいたい受け入れられているようです。

 

ご両親や親戚で、お子さんの面倒を見てくれる人が近くにいるなら、是非、働き続けてほしいと思います。おじいちゃま・おばあちゃま方、お孫さんを預かるのは大変ですが、かえって張り合いができて、お元気になるようです。仕事を続けるためにベビーシッターを雇ったり、保育園にお子さんを預けたりで、収入が減っても、自分が勉強する・スキルアップするための授業料だ、雇用を生み出しているのだと思えばいい。すぐにお子さんは大きくなります。あっという間に小学生、中学生、高校生になってしまいます。ママさん薬剤師、もう少しだけ頑張ってください!!

 

我が家は3世代同居家族で、有り難いことに89歳になる義母が孫の面倒を見てくれています。もっと静かな老後を予想していたのに、孫たちの世話で大変と言っていますが、まんざらでもないようです。おかげで、ママ(私)は、開局以来仕事三昧。子供たちから「カラスの母さん(Rabenmutter)」と言われています。「ママったら、いつも仕事優先で、家族は二の次!」と、手厳しい。ドイツでは、子供をかまわない「だめママ」のことを「カラスの母さん(ラーベンムッター)」と呼びます。母親の義務と責任だけは、放棄したことはないと自分では思っているのですが、やはり子供に割ける時間は少ない。行き届かないところがあるのは否めません。日頃、あまり家にいられない分、休暇では、子供たちがやりたいことを優先しています。子供たちと過ごす時間が少ない分だけ、一緒の時は、できる限りのことをして、密度の高い楽しい時間を過ごすようにしています。

 

希望する女性が誰でも働き続けられる環境が整うことを切に願いますが、法律がお膳立てするのを待っていたら、また30年くらい、いいえ、もっと長くかかるかもしれません。フルタイムでもパートでも、働ける国家資格があるのは有り難い。女性薬剤師の皆さん、生涯薬剤師でいてください!

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