メルマガ新着

JACP医薬品情報室-12

JACP医薬品情報室
12
著者
蔵之介
● JACP医薬品情報室だより 12
エチゾラムとゾピクロン

 

2016.10.23

 

 精神安定剤のエチゾラム(商品名:デパス錠ほか)と睡眠導入剤のゾピクロン(商品名:アモバン錠ほか)が第3種向精神薬に指定されました。向精神薬になると、「麻薬及び向精神薬取締法」が適用され、処方せん医薬品よりも取扱いが厳しくなります。具体的には、1回の処方量や海外への持ち出し量が制限されます。エチゾラムとゾピクロンの投与期間の上限は30日、日本から出入国する際に携帯できる分量は、エチゾラム90mg、ゾピクロン300mgになりました。

 

詳しい経過を追うと、平成28年9月14日付けで「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令」および「麻薬及び向精神薬取締法施行規則の一部を改正する省令」が公布され、10月14日に施行され向精神薬となりました。向精神薬の投薬期間の上限は14日ですが、例外的に30日分、または90日分が認められます。取扱については、2016年10月13日付けで「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等の一部を改正する件」という厚生労働省保険局医療課長通知が発出され、10月14日から10月31日までは『投与制限除外』として長期投与を認め、11月1日に『投与制限除外』を解除し、上限『30日』が適応されます。このため11月1日からは30日以上の投薬はできません。ところで、10月31日に発行された処方せんを11月2日に薬局で受け取った場合やリフィル処方の場合はどうなるのでしょうか?11月からは長期投与できない…?

 

これには薬剤師会が通達を出しています。『①平成28 年10 月31 日までに交付された処方せんについては、同11 月1日以降に受け付けた場合であっても、投薬量の制限(1 回の投薬量が30日分内)は適用されない。②ただし、向精神薬加算(調剤料)については、同10 月14 日調剤分より算定できる』

 

これで一件落着のようですが、リルマザホン塩酸塩水和物(商品名:リスミー錠)やアモバンの光学異性体であるエスゾピクロン(商品名:ルネスタ錠)、新しいタイプの睡眠薬であるメラトニン受容体アゴニストのラメルテオン(商品名:ロゼレム錠)やオレキシン受容体拮抗薬のスボレキサント(商品名:ベルソムラ錠)は処方せん医薬品のままです。乱用等の危険性により向精神薬の指定を受ける可能性があります。今後の動向が気になります。

 

  by 蔵之介

メルマガ新着

TOPIC月別アーカイブ