薬局スタッフの業務効率を激変させたピッキングマシーン
数年前、当薬局はピッキングマシーンを導入いたしました。ドイツではKommissionierautomat(コミショニーァ・アウトマート)と呼んでいます。この中に、医薬品在庫の大部分が入っています。ピッキングマシーンはコンピューター制御の全自動装置です。レセコンと連動し、レジで入力した製品を取り出してくれます。抗血栓用アスピリン100mg錠箱は、ピッキングマシーンの中に入っているのですが、必要な量を入力するとアーム付きの可動部分が記憶した在庫場所へ移動し、箱を出し口(多くの薬局ではレジのすぐ横かすぐ後ろ)まで運んでくれます。マシーンとレジがそれぞれ別のフロアーにある場合は、滑り台状になった筒や、ミニエレベーターのようなものを取り付け、できる限りレジの近くに箱が出てくるようにしています。出し口は薬局の希望でいくつか付けられるようになっています。当薬局では、レジ用1つ、バックオフィス用2つ、合計3つの出し口があります。在庫位置はランダム方式で、箱の大きさに合い、開いている場所にマシーンが置いていきます。
スタッフの勉強と患者さんとの対応に、より多くの時間を作るため、どうしたら業務を効率化できるかを考えていた当店長は、ピッキングマシーンの導入を決めました。採用したメーカーの最小型機種を置いていますが、使いやすくて性能が安定しており、導入以来1度も故障・停止したことがありません。導入したと同時に、業務に大きな余裕ができました!卸やメーカーから入荷した製品をスキャンして、搬入用のベルトコンベアーに置くだけで、後の作業はマシーンが全部引き受けてくれます。それまでは、入荷チェック後、スタッフが分担して在庫棚や引き出しに製品を収容していました。また、製品が必要な場合は、収納場所まで歩いてゆき、棚や引き出しから取り出し、レジで入力するということを行っていました。この作業がなくなったので、他の、それも1つの仕事にかけられる時間が増えました。1つの仕事を中断することなく終了することができ、ミスや仕事をやり忘れることも減りました。
マシーンの導入により、FIFO原則、すなわち、First-in-first-out(最初に入荷したものを最初に取り出す、実際には期限の短いものから取り出す)を厳守でき、在庫や使用期限管理にかける時間が短縮され、それらの業務の質も向上しました。
このようなことから、安心して患者さんとの対話に集中でき、医薬品やサプリに関する検索に時間がかけられます。これまで手動で行ってきたピッキングの時間が要らなくなったので、患者さんへ、より長くより丁寧に服薬指導ができるようになりました。
ラボで作業する時間のゆとりもでき、1人が1つの仕事に一貫して集中できます。
ピッキングマシーンの導入でこれほど時間にゆとりができるとは思っていませんでした。1度導入すると2度と手放したくない機械です。