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JACP医薬品情報室-9

JACP医薬品情報室
9
著者
蔵之介
● JACP医薬品情報室だより 9
フロリードゲル経口用の相互作用

 

2016.04.06

 

今回は、口腔・食道カンジダ症治療薬、フロリードゲル経口用(一般名:ミコナゾール)の相互作用のお話です。

アゾール系抗真菌薬のフロリードゲルは、経口ではほとんど吸収されないため、口腔内塗布剤として口腔・食道カンジダ症に用いられます。そのため見過ごされがちなのが、薬物間相互作用です。ミコナゾールは、肝代謝酵素のCYP3A、CYP2C9を強力に阻害して、これらの酵素で代謝される薬物の血中濃度を上昇させます。

このため統合失調症治療薬のオーラップ錠、不整脈治療薬の硫酸キニジン、睡眠導入剤のハルシオン錠、高脂血症治療薬のリポバス錠、Ca拮抗剤のカルブロック錠、レザルタス配合錠、バイミカード錠、抗精神病薬のロナセン錠、頭痛治療薬のクリアミン配合錠、抗血栓薬のイグザレルト錠、C型慢性肝炎治療薬のスンベプラカプセルなどと、併用禁忌になります。

でも、本当に注意が必要なのは、併用注意の抗凝固薬のワーファリン錠です。併用禁忌薬は電子カルテなどで、処方時にチェックされます。またそれほど血中濃度が上がらないためかほとんど副作用報告はありません。これに対し、併用注意薬のワーファリンは重篤な出血が数多く報告されています。そのため「相互作用」の項だけでなく、「慎重投与」と「重要な基本的注意」の項にも、ワーファリンとの相互作用が記載されています。併用禁忌より併用注意に気を付けるのも、何か微妙ですね。

 

参考:重要な基本的注意:『本剤とワルファリンとの併用において、ワルファリンの作用が増強し、出血をきたした症例が報告されている。本剤投与開始にあたっては、あらかじめワルファリン服用の有無を確認し、ワルファリンと併用する場合は、プロトロンビン時間測定及びトロンボテストの回数を増やすなど慎重に投与すること』

 

  by 蔵之介

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