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JACP医薬品情報室-61

JACP医薬品情報室
61
著者
蔵之介
● 医薬品情報室-61
軽症・中等症の新型コロナウイルス感染症治療薬(経口薬)
2022.01.20

 

2021年12月、国内初となる軽症・中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口薬ラゲブリオカプセル(一般名:モルヌピラビル)が特例承認されました。また、2剤目の経口薬として、ファイザーのパクスロビド(リトナビル/ニルマトルビル)も、2月に特例承認される見通しです。
軽症・中等症の治療薬には、中和抗体薬のロナプリーブ点滴静注(一般名:カシリビマブ/イムデビマブ)とゼビュディ点滴静注液(ソトロビマブ)がありますが、いずれも注射薬です。経口薬の登場は、オミクロン株による感染爆発が懸念される中、ゲームチェンジャーとして期待されています。
細胞内に侵入したウイルスは、①RNA(リボ核酸)を放出し、②RNA依存性RNAポリメラーゼでRNAを複製、②宿主のリボソーム(複製装置)を使い、RNAから長い蛋白質を合成、➂蛋白質分解酵素(3CLプロテアーゼ)で切り出し、ウイルスを大量に増殖します。ラゲブリオは、ベクルリー点滴静注(レムデシビル)やアビガン錠(ファビピラビル)と同じ、リボ核酸アナログ(類似)製剤。同じRNAポリメラーゼ阻害薬でも、アビガンがRNAポリメラーゼを選択的に阻害するのに対し、ラゲブリオは、プロドラッグで活性代謝物がウイルスに取り込まれた後、RNAの複製エラーを増加させウイルス増殖を阻害します。発症から速やか(5日以内)に開始します。ラゲブリオは、薬物相互作用や食事の影響、腎・肝機能障害時の用量調整はありません。ただし、動物実験で催奇形性があるため、妊婦は禁忌、服用中・服用終了後4日間の避妊、授乳中止等の検討などが推奨されます。カプセルは、一番大きい0号サイズです。対応薬局は、ラゲブリオ登録センターに事前登録し、医療機関から処方せん及びチェックリストの送信後、患者宅に配送又は持参します(発注後、1~2 日で納品可能)。
パクスロビドは、3CLプロテアーゼ阻害薬のニルマトルビルとその血中濃度を高める抗HIV薬のリトナビルの配合薬。ウイルス増殖に必要な酵素(3CLプロテアーゼ)を阻害します。12歳以上、40kg以上で、腎機能や肝機能障害に対する投与制限があります。また、ブースターとして用いられるリトナビルに強力なCYP3A阻害作用があるため、併用禁忌となる薬が多いです。直接的な比較データはありませんが、パクスロビドに高い有効性を示す報告があります。

 

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