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ドイツ薬局便り-4

ドイツ薬局便り
4
著者
アッセンハイマー慶子
● ドイツ薬局便り-4
 

薬局の宿直用在庫の調整は天気予報次第

2015.05.26

日本は緑の美しい季節になりました。ドイツは5月になってやっと春らしくなります。

セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)の白い花が咲くと春。白、薄紫、紫色のライラックもそれに続きます。秋に採れるセイヨウトチノキの実は、薬用です。その実からAescinというサポニン混合成分を抽出できます。エキスは外用・内服薬に加工され、足のむくみや痛みなど静脈瘤に伴う種々の症状緩和に一般薬として使われています。秋になると子供達がきれいな光沢のある茶色い丸い実を袋にいっぱい集めている姿を見かけます。この実をおままごとや工作材料に使うのです。実が熟して地面に落ちてくるのを待ちきれなくて、棒でたたき落としているところを木の所有者に見つかり、怒られている子供達も時々見かけます。トチノキには赤い花をつける交配種もあり角地によく植えられていて、その鮮やかな花の色が目を引きます。5月末には待ってましたとばかりに沢山の初夏の植物が咲き始めます。


4月に続き5月もお天気が変わりやすく、天気の急変時に頭痛がしたり体調を崩したりする方がいらっしゃいます。ドイツでは「wetterfühlig(お天気敏感症)」と言っています。5月半ばには「Eisheilige(直訳すると氷聖人)」という、低気温が続く時期があって、年によっては、朝、霜が降りるほどの寒さです。一般家庭ではこの「Eisheilige」が過ぎてから、庭やベランダに夏用のお花の苗を植えます。

この時期に夜勤当番、特に週末に当番が当たると、在庫の調整が大変です。晴天に備えて、花粉症用医薬品を追加注文しておくか、それとも寒くなることを考慮して、抗菌剤や咳止め、解熱鎮痛剤の量を多めにストックするか... 天気予報を参考に注文量を考えます。急患患者さんに処方された医薬品をすぐにお渡しできるよう、薬局では当番時によく処方される医薬品の在庫量を前もって確認しておきます。

ドイツでは24時間医薬品供給体制を敷いており、地区内の薬局が輪番制で夜勤にあたります。ドイツ全土で毎日約1400店の薬局が夜勤を担当します。そのうち1200は薬剤師が薬局に泊まり込む宿直当番です。他の200店は、地区によって違いますが、閉店時間から20時~22時くらいまで薬剤師が薬局に詰めている遅番です。夜勤では在庫のある医薬品ばかりが処方されることを、そして仮眠中に急患用窓口のブザーが鳴ったら、その音を聞き逃すことがないようにと願うばかりです。

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