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ドイツPTA便り-17

ドイツPTA便り
17
著者
アリーン・フォーゲル
● ドイツPTA便り-17
ドライアイ-ドイツの国民病

 

2018.01.26

 

ある統計によると、ドイツ国民の約5分の1は、いわゆるドライアイに悩まされているそうです。ドライアイには2つのタイプがあります。眼を潤す涙の量が充分でないタイプと、量は充分でも涙成分が変化しているタイプです。後者では、成分変化により涙の水分が蒸発しやすく、ゆえに目が乾燥しやすくなっています。 目が乾燥する原因として、環境、冷暖房の使用、喫煙、コンピューター画面を使用しての長時間作業、医薬品の副作用(例えば、βブロッカー、抗アレルギー剤、抗うつ剤)や疾患(糖尿病、リウマチ)なども挙げられます。 コンタクトレンズの使用で目が乾燥しやすくなることもあります。

該当する方の多くは、目に異物感、痛み、かゆみ、光のまぶしさを訴えます。人工涙液製剤で、そのような症状を緩和できます。薬局では症状に合わせ、様々な製品を置いています。ヒアルロン酸含有の点眼薬は成分濃度が0.1%の製品が多く、ドライアイ患者さんに、よく使用されています。同成分が水分を保持する性質を利用して、ドライアイ症状を緩和します。 1gのヒアルロン酸は約6リットルの水を保持できるそうです。ヒアルロン酸は、水分中で膨張し、粘性を増します。目の表面で涙液水分と結合したヒアルロン酸は、安定した涙フィルムを作ります。

点眼剤の中には、やはり涙フィルムを安定させる働きのあるカルメロースナトリウム(カルボキシメチルセルロース)含有の製品があります。グリセリンも水潤作用があるので含まれている製品があります。 コンタクトレンズ使用者、アレルギーのある方には、保存剤の入っていないものをお勧めます。Purite®は保存剤ですが、光で涙成分の1つに分解する性質があります。点眼した時点で同保存剤は分解してしまいます。ですから、コンタクトレンズ使用者にも向いていて、使用前にコンタクトレンズを外す必要がありません。

涙成分の変化により、特に脂質低下でドライアイになっている場合は、トリグリセライド、リン脂質などを含有する人工涙液点眼剤をお勧めしています。

点眼剤ボトルの種類は、多回用ボトル、単回用ボトルがあります。多回用ボトルでは、COMOD®-System(COntinuous MOno Dose)が定着しつつあります。https://www.ursapharm.de
使用中もボトル外の空気に触れない作りなので、保存剤が入っていなくても開封後長期使用が可能です。開口部と点眼液の間に特殊フィルムを張り、異物や細菌の侵入を防ぐ構造になった多回用ボトルもあります。 いずれも価格は高めで、容量10mLの製品は15ユーロ前後です。このような特別構造になっていない多回用ボトルの点眼液は、保存剤が入っていても開封後4-6週間が使用期限となっています。こちらの価格は、容量10mLが約5~8ユーロです。

単回用ボトルは、0.3~0.5mL含有のものが10本か20本入ったパックが標準サイズです。単回用ボトルに入った人工涙液は、保存剤を含有しないので、コンタクトレンズ使用者に向いています。必要本数だけ持っていけるので、外出用に便利です。

薬局では、製品を選択し、お渡しするだけでなく、目をいたわる方法などもお伝えし、トータルにドライアイを防げるようアドバイスしています。読書やモニター作業では、短時間おきに目を休める。冬場は室内の空気が乾燥しすぎないよう、加湿器を使ったり、パネルヒーター(ドイツの一般的な暖房システム)で、給湯器の熱湯を各部屋に設置したパネルに循環させます。 各パネルには温度調節用の回転式ノブがついています)に濡れたタオルをかける、パネルヒー度調節用の回転式ノブがついています)に濡れたタオルをかける、パネルヒーター専用の加湿容器(1輪挿しのような形をしています)には、定期的に水を入れるなどです。 また、充分な水分を取ることは、目にも大切であることもお伝えしています。

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