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JACP医薬品情報室-16

JACP医薬品情報室
16
著者
蔵之介
● JACP医薬品情報室だより 16
新薬の立ち位置 No1 抗ヒスタミン薬

 

2017.06.13

 

 平成28年11月18日、抗ヒスタミン薬のビラノア(一般名:ビラスチン)とデザレックス(一般名:デスロラタジン)が同日発売されました。デザレックスは、クラリチン(一般名:ロラタジン)の主要活性代謝物です。

第一世代抗ヒスタミン薬は、効果発現が速い反面、眠気の副作用も強力でした。1980年代になると、①親水基を導入して中枢移行性を抑え、②受容体選択性を高めた、③長時間作用する第二世代抗ヒスタミン薬が開発されました。肥満細胞の脱顆粒抑制作用など、抗アレルギー作用を有しているため、「抗アレルギー薬」と称され高薬価が付きました。ザジテン、ゼスラン、アゼプチン、セルテクト、ダレンなどです。ところで、眠気の強い薬は効果も強いという誤解がありますが、鎮静作用と抗ヒスタミン作用は相関しません。第二世代の中にも鎮静作用が強いものがあり、副作用の軽減は十分とは言えませんでした。1990年代になると、アレジオン、エバステル、ジルテック、タリオン、アレロック、クラリチン、アレグラ、ザイザルなど、眠気が少ない薬が開発され、非鎮静性第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれました。なお、初期の第二世代には喘息の適応がありますが、後期第二世代にはこの適応はありません。

ビラノアとデザレックスですが、どちらも眠くなりにくく、自動車運転などの制限はありません。自動車運転の記述がないのは、このほかにアレグラ、クラリチン、配合剤のディレグラがあります。デザレックスは、食事やグレープフルーツジュースなどによる影響を受けにくい薬です。これに対し、ビラノアはジルテックや光学異性体のザイザルと同程度の強さがありますが、食事やグレープフルーツジュースで吸収が半減します。そのため、空腹時(食事の1時間以上前、または2時間以上後)に服用する必要があります。今後、ルパタジン(一般名:ルパタジンフマル酸塩)の発売が予定されています。

 

 

 

  by 蔵之介

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