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JACP医薬品情報室-17

JACP医薬品情報室
17
著者
蔵之介
● JACP医薬品情報室だより 17
新薬の立ち位置 No2 抗てんかん薬(フィコンパvsビムパット)

 

2017.09.03

 

2016年5月にフィコンパ(一般名:ペランパネル水和物)、同年8月にビムパット(一般名:ラコサミド)と2つの抗てんかん薬が発売されました。

日本の抗てんかん薬は、海外に比べ10年のドラッグラグがあるとされてきました。ガバペンチン、トピラマート、ラモトリギン、レベチラセタム、スチリペントール、ルフィナミド、ビガバトリンと相次いで発売され、解消しました。

抗てんかん薬の作用機序は、グルタミン酸系(興奮性)抑制とGABA系(抑制)賦活に大別されます。興奮性抑制として、①興奮に関与する前シナプスの電位依存性Na+及びCa2+チャネルの阻害、②興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の抑制、③シナプス小胞(SV2A)における神経伝達物質の放出抑制、④AMPA受容体を介した過剰興奮の抑制などがあります。抑制系賦活としては、⑤GABA受容体に結合し、抑制に関与するCl透過性の亢進などがあります。

フィコンパは、ゾニサミド以来、27年振りに日本で開発された抗てんかん薬です。後シナプスにあるAMPA受容体を高選択的かつ非競合的に拮抗し、グルタミン酸による神経の過剰興奮を抑制する、新しい作用機序の薬です。部分発作だけでなく、強直間代発作にも適応を取得しました。ファースト・イン・クラスの薬として、既存薬では抑制されない、てんかん発作にも期待されています。現在、小児適応、単剤療法、錠剤以外の新剤形が開発中です。

ビムパットの適応は部分発作ですが、相互作用や食事の影響がなく、ラモトリギンでみられた重篤な皮膚障害も少ないため、スタンダード薬になる可能性を秘めています。Na+チャネルには、急速な不活性化と緩徐な不活性化があります。従来のNa+チャネル遮断薬(フェニトイン、カルバマゼピン、ラモトリギンなど)は急速不活化ですが、ビムパット®は緩徐不活化と異なる作用機序を持ちます。ブルガダ症候群など、心疾患患者には注意が必要ですが、副作用は用量依存的で慣れもあるようです。2017年8月に単剤療法が承認され、現在、錠剤以外の新剤形が開発中です。

 

使用に際しては、必ず添付文書をお読み下さい。

  by 蔵之介

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