メルマガ新着

JACP医薬品情報室-30

JACP医薬品情報室
30
著者
蔵之介

●医薬品情報室だより-30

ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤(ファセンラ皮下注)

 

2019.01.08

 

2018年4月、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤のファセンラ皮下注[一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え)]が発売されました。適応は、難治性気管支喘息です。 

日本には約800万人の喘息患者がおり、そのうち5~10%が高用量の吸入ステロイドに、その他の長期管理薬を併用してもコントロールできない重症喘息と推定されます。重症喘息に対する抗体療法としては、抗IgE(免疫グロブリンE)抗体製剤のゾレア皮下注[一般名:オマリズマブ(遺伝子組換え)]、抗IL-5(インターロイキン-5)抗体製剤のヌーカラ皮下注[一般名:メポリズマブ(遺伝子組換え)]に次いで3番目になります。喘息の病態における気道炎症や気道過敏性には、肥満細胞や好酸球が関与しています。好酸球は、ヘルパーT細胞が産生するIL-5が好酸球表面に発現する受容体と結合することで活性化されます。重症喘息の約50%で好酸球レベルが高い傾向にあります。

ファセンラは、IL-5が受容体に結合するのを阻害して、好酸球の活性化を抑制します。また、糖鎖からフコースを除去する技術によりナチュラル・キラー(NK:natural killer)細胞が認識しやすくしています。このためNK細胞は、好酸球と結合したファセンラを標的として攻撃を行い、アポトーシスを誘導します。重症喘息において抗体依存性細胞傷害(ADCC:antibody-dependent cellular cytotoxicity)活性を利用して、好酸球を直接的に除去します。好酸球増多による気道炎症を軽減し、喘息症状の改善、喘息増悪の抑制ができると期待されています。

主な副作用としては、頭痛、咽頭炎、発熱、注射部位反応などがあります。

メルマガ新着

TOPIC月別アーカイブ