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JACP医薬品情報室-35

JACP医薬品情報室
35
著者
蔵之介
●医薬品情報室だより-35
抗精神病薬(レキサルティ錠)

 

2019.06.06

 

2018年4月、抗精神病薬のレキサルティ錠(一般名:ブレクスピプラゾール)が発売されました。第一世代の定型抗精神病薬は、ドパミンD受容体遮断作用による錐体外路症状(EPS)の副作用が多いことが課題でした。第二世代(非定型抗精神病薬)のセロトニン・ドパミン遮断薬(SDA)は、セロトニン5HT2A遮断作用によりEPSは軽減されましたが、体重増加、高脂血症や糖尿病などの代謝障害、高プロラクチン血症など、新たな副作用が発現しました。

ドパミン部分作動薬(ドパミン・パーシャル・アゴニスト:DPA)のエビリファイ(一般名:アリピプラゾール)は、ドパミンD受容体の部分アゴニスト作用によりEPSは軽減されましたが、興奮や不眠、アカシジアなど別の副作用が発現しました。レキサルティは、ドパミンD2受容体の部分アゴニスト作用を弱め、セロトニン系には、セロトニン5HT1A受容体に部分アゴニストとして、セロトニン5HT2A受容体にはアンタゴニストとして強力に作用します。これにより不眠やアカシジアは軽減され、SDAとDPAの両方のプロファイルを持つことからセロトニン-ドパミン・アクティビティ・モジュレーター(SDAM:エスダム)と呼ばれます。エビリファイは警告に高血糖が記載されていますが、レキサルティは警告ではなく副作用の項にあります。主にCYP3A4、2D6により代謝され、CYP3A4、2D6阻害薬とは相互作用があります。日本人は2D6の低活性型(プワー・メタボライザー:PM)が1%未満おり、投与量の調整が必要になります。海外では、統合失調症のほかに、大うつ病性障害の補助療法の適応が承認されています。

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