パーキンソン病治療薬(ハルロピテープ)
2019年12月、パーキンソン病(PD)治療薬のハルロピテープ(一般名:ロピニロール塩酸塩)が発売されました。ニュープロパッチ(一般名:ロチゴチン)に続く2剤目の経皮吸収型ドパミンアゴニストです。
PD治療の基本薬は、レボドパとドパミンアゴニストです。早期PDでは治療反応性が高い(ハネムーン期)のですが、進行期PDになると、ドパミンを保持するドパミン神経の脱落が高度になり、徐々に有効治療域が狭くなります。その結果、低濃度ではウェアリングオフ現象が、高濃度では過量となりジスキネジア(不随意運動)が出現し、多剤併用下でも運動合併症のコントロールが難しくなります。半減期の短い(約1時間)レボドパがドパミン受容体をパルス状に刺激するのが原因と考えられています。
ドパミンアゴニストは、ドパミン D2 受容体を選択的に刺激します。運動症状の改善はやや劣りますが、作用時間が長く、日内変動の予防には優れています。65歳未満ではドパミンアゴニストによる治療開始が推奨されています。ドパミンアゴニストには、麦角系のパーロデル錠(一般名:ブロモクリプチンメシル酸塩)、ペルマックス錠(一般名:ペルゴリドメシル酸塩)、カバサール錠(一般名:カベルゴリン)と、非麦角系のドミン錠(一般名:タリペキソール塩酸塩)、ビ・シフロール錠/ミラペックスLA錠(一般名:プラミペキソール塩酸塩水和物)、レキップ錠(一般名:ロピニロール塩酸塩)、アポカイン皮下注(一般名:アポモルヒネ塩酸塩水和物)、ニュープロパッチがあります。麦角系は心臓弁膜症や肺・胸膜線維症などの重篤な副作用があります。非麦角系は突発的睡眠や傾眠の副作用があるため、自動車の運転等には注意が必要です。また、高齢者では、ドパミン製剤に比べ、幻覚・妄想等の精神症状が発現しやすくなります。
ハルロピテープは、「貼るロピニロール」から命名されました。PD 患者は、嚥下障害や消化管障害が50%~90%が認められます。貼付剤は、経口剤より血中濃度が安定し、副作用も剥がせば回避できます。ニュープロは支持体にアルミニウムが含有されていますが、ハルロピは金属を含まないので、MRIやAEDを実施する前に剥がす必要はないと考えられます。