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JACP医薬品情報室-59

JACP医薬品情報室
59
著者
蔵之介
● 医薬品情報室-59
経口GLP-1受容体作動薬(リベルサス錠)

 

2021.06.15

 

2021年2月、リベルサス錠〔一般名:セマグルチド(遺伝子組換え)〕が発売されました。同一成分薬としてオゼンピック皮下注がありますが、リベルサス錠は、国内初となる経口GLP-1受容体作動薬です。いずれも皮下投与製剤になりますが、GLP-1受容体作動薬には、連日投与のバイエッタ、リキスミア、ビクトーザ、週1回投与のビデュリオン、トルリシティ、オゼンピック、インスリンとの配合薬で連日投与のゾルトファイ、ソリクアがあります。
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、小腸のL細胞から分泌されるインクレチン系ホルモンで、血糖値に応じてインスリン分泌を刺激し、グルカゴン分泌を阻害します。GLP-1受容体作動薬は、DPP-4(ジぺプチジルペプチダーゼ-4)により速やかに分解されるGLP-1のアミノ酸配列を一部置換して、DPP-4による分解を受けにくくしたアナログ製剤です。アメリカ毒トカゲの唾液(エキセンディン-4)由来の製剤(ステムはセナチド)と、ヒトGLP-1アナログ製剤(ステムはグルチド)があります。
GLP-1受容体作動薬は、分子量が4,000と非常に大きなペプチド製剤です。インスリンも同様ですが、分子量が500を超えると消化管からの吸収は難しく、蛋白質なので胃の消化酵素(ペプシン等)で分解されます。この難題を解決したのが、吸収促進剤のSNAC(サルカプロザートナトリウム)です。①pH緩衝作用により、強酸下でペプシノーゲンが活性型のペプシンに変換されるのを妨げ、消化管酵素による分解を回避します。②界面活性作用により、重合して多量体になりやすいセマグルチドを単量体にして吸収を促進します。難吸収性薬物のバイオ薬物を、注射薬以外の製剤オプションで提供するため、服用上、幾つかの制約があります。『空腹の状態で、コップ約半分の水で、1錠を服用し、服用後30分間の飲食を避けます』。2錠を1度に服用するとSNACの量が多くなり、吸収に影響を及ぼす可能性があります。胃内容排泄遅延および食欲抑制作用により、体重減少効果がありますが、体重減少(ダイエット)を目的とした使用は薬機法に抵触します。また、DPP-4阻害薬との併用は、有効性及び安全性が確認されていません。

 

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