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CP羅針盤-46

CP羅針盤
46
著者
吉岡ゆうこ
● CP羅針盤-46

 

薬局開設者及び医薬品販売業の法令遵守体制
2021.07.04

 

202181日は、薬機法第2弾の施行日です。これまでJACPでは、地域連携薬局の申請に関する課題に取り組んできましたが、8月1日から施行される「薬局開設者及び医薬品販売業の法令遵守体制」は全ての薬局に関わることです。薬機法、薬機法施行規則を見ますと、結構な部分、追加や修正されています。

2021625 厚生労働省医薬・生活衛生局長通知(薬生発062513号「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」について を発出しました。

法令違反事例を2類型にわけ、過去にあった具体的事例をあげています。

 

類型1:違法状態にあることを役員として認識しながら、その改善を怠り、漫然と違法行為を継続する類型

(具体的事例)

  • 役員が認識しながら、薬剤師でない者に販売授与の目的で調剤させていた事例
  • 必要な薬剤師数が不足していることを役員が認識しながら、薬局の営業を継続していた事例
  • 役員が認識しながら医師等から処方箋の交付を受けていない者に対し、正当な理由なく処方箋医薬品を販売していた事例

 

類型2:適切な業務運営体制や監督体制が構築されていないことにより、違法行為を発見又は改善できない類型

(具体的事例)

  • 医薬品の発注、仕入れ、納品、保管等の管理を適切に行う体制が構築されていなかったために、偽造品を調剤し、患者に交付した事例 (ハーボニーの偽薬事件)
  • 適切な業務運営体制が構築されていなかったために、薬局の管理者が他の薬局において業務を行っていた事例
  • 処方箋により調剤した薬局において、調剤済みとなった処方箋を当該薬局で保存せず、さらには調剤録への記入をせずに、別の薬局で調剤したように見せかけていた事例(処方箋の付け替え事件)

  

以上のような事例を踏まえ、薬局開設者に対して、薬事に関する法令を遵守するための体制を構築することを義務付けました。81日以降に開局する薬局の申請書は、薬事に関する業務に責任を有する役員を記入しなければなりません。現在開設許可を受けている薬局は、許可更新時に、薬事に関する業務に責任を有する役員を記入しなければなりません。

今回の薬機法には2以上の許可を受けている場合の必要な措置も規定され、薬局開設者等を補佐する者(エリアマネージャー等)が行う業務の範囲や担当する薬局を明確にすることも求められています。

 

そして管理者に対しては、薬機法で、管理者の業務を遵守するために必要な能力及び経験を有する者でなければならないと規定され、ガイドラインでは、原則として、薬局における実務経験が少なくとも5年以上あり、中立的かつ公共性のある団体(薬剤師認定制度認証機構等)により認証を受けた制度又は、それらと同等の制度に基づいて認定された薬剤師であることが重要であると記載されています。

 

薬局開設者には、薬事に関し業務に責任を有する役員、エリアマネジャー、管理者の業務分掌が求められ、指針の作成、教育研修なども求められています。ガイドラインではそれらについての具体的な取り組みについては、述べられていません。それらについては、薬局開設者等の業態や規模に応じて実施することが想定されるとされています。法令を遵守することはあたり前のことであり、ことさらというところもあるでしょう。チェーン薬局は業務分掌があるところが多いでしょうが、1店舗、2店舗の薬局には決まったものがない場合も少なくありません。7月中にそれらを構築するように準備を進めてください。

 

今回の法改正で、厚労大臣は、法令遵守体制による措置が不十分であると認める場合においては、その改善に必要な措置を講ずべきことを命じることができる。と改善命令を下すことができるようになっています。

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