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JACP医薬品情報室-8

JACP医薬品情報室
8
著者
蔵之介
● JACP医薬品情報室だより 8
後発医薬品VS先発医薬品の企業戦略

 

2016.02.10

 

先発の6割以下という「ジェネリック(GE」の薬価の前に、先発品の勝ち目はありません。カルシウム拮抗薬を皮切りに、次々とGEに切替えられました。これに対する先発企業の戦略が「配合薬」です。ブロプレス錠の薬価140.40円に対し、配合薬ユニシア錠(ブロプレス+アムロジピン)は140.70円です。ARBにアムロジピンのGEを組み合わせることで、見かけ上、アムロジピンの薬価をゼロにできます。その上、配合薬は新薬扱いなので、ARBも温存できます。GEに対する究極のマーケティング戦略です。2006年にARB+利尿薬の配合薬が発売されると、本格的に配合薬が市場に投入されました。ところが2014年2月に最初のGE配合薬、ロサルヒド配合錠が発売されると、再び競争力は失われました。

次は「オーソライズド・ジェネリック(AG)」です。GEは先発品と同一有効成分を含有し、生物学的同等性が認められていますが、添加物や製造方法は違います。先発品と適応の異なるGEもあります。AGは先発薬企業から特許使用許諾を受け、添加物や製造方法もまったく同じです。ARBのカンデサルタン「あすか」(先発品名:ブロプレス)などが発売されました。先行発売や系列企業化など、新たなAG戦略も垣間見えます。一方、鉄壁の参入障壁を誇っていたインスリン製剤にも風穴が開きました。2009年に登場した「バイオシミラー(BS)」です。ヒト成長ホルモン製剤を皮切りに、2015年にはインスリングラルギンBS注「リリー」(先行品名:ランタス)が発売されました。BSは、化学合成された低分子医薬品とは異なり、分子量が数十万の高分子化合物です。糖鎖などの複雑な立体構造を有するため、先行品と同一有効成分を製造することは不可能です。承認にはフルパッケージに近い臨床試験が要求され、開発・製造には高度な技術力が不可欠になります。さて、今後の展開や如何に!

 

 

 

  by 蔵之介

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