メルマガ新着

ドイツ薬局便り-39

ドイツ薬局便り
39
著者
アッセンハイマー慶子

●ドイツ薬局便り 39

コロナちゃんと呼ばないで! 子供に増える新型コロナ感染

2022.2.11

新型コロナウイルス・オミクロン株による感染者がドイツでも急増中です。報告されているように感染力が強いようです。顧客のなかにも感染者が増え、医薬品を自宅へお届けすることが、1月くらいから多くなっています。医療用医薬品の配達を依頼する電話が市内の開業医院からも増えています。子供への感染も周りで増加していると感じられます。当薬局のスタッフの1人は、2人の子供がいるPTA(薬学技術アシスタント、国によってはテクニシャンとも呼ばれている国家資格者)です。上の女の子は、小学3年生。クラスで1人感染者が出たと、学校から報告を受けた次の日には、既に感染者が5人に増えていたと言っていました。この小学校では、簡易抗原テストを毎日行っています。授業中、子供たちはマスクを装着し、換気も頻繁に行われているそうです。ドイツの冬は寒く、暖房が入っているとは言え、窓をあければ急に室内の温度が下がります。子供たちが、新型コロナウイルスに感染するだけでなく、カゼもひいてしまうのではないかと心配になります。

現行の規則では、感染した学童は隔離され、自宅待機です。隔離7日目に簡易抗原テストが陰性であれば、次の日から再び学校へ通うことができます。感染者増加に伴い、自宅で使える簡易抗原テストキットの需要も増えています。品薄にはなっていませんが、入荷価格が大きく変動するのには困ってしまいます。薬局では、できる限り同じ価格で販売したいのですが、やむを得ず値上げをすることもあります。

ドイツの薬局は、昨年2021年6月から、コロナワクチン接種者や感染経験者にデジタル証明書を発行できることになりました。希望者が持参した国際接種パスの接種情報もしくはPCRテスト証明、身分証明書をもとに情報をQRコード化し、A4サイズの紙にプリントアウトしてお渡しします。開業医院、接種センターでも証明書を発行してもらえます。EU共通のフォーマットで、証明書はEU内で有効です。当バーデン・ヴュルテンベルク州では、12月1日よりデジタル証明の携帯を義務付けました。専用のアプリでQRコードを読み取れば、携帯電話にQRコードやその他の情報が入力でき、プリントアウトしたものを持ち歩かずに済みます。12月は、クリスマスを控え処方箋業務が増え、義務化によりデジタル証明書を希望する人が急増し、ドイツの薬局はどこも大忙しでした。

希望者がすぐに証明書を持ち帰れるよう、当薬局では、全てのレセコンで、デジタル証明を作成しプリントアウトできるようにしています。A4サイズのオリジナル証明書だけでなく、希望者には縮小コピーしてシート加工し、クレジットカードサイズにしてお渡しするサービスもしています。このカードサイズのものは、特に高齢者に喜ばれています。高齢者の中には、アプリをダウンロードできる携帯電話をお持ちでない方、アプリはダウンロードしたものの使い方がどうもという方もいらっしゃいます。カードサイズならお財布に入れておけば、いつでも・どこへでも持ち歩け、取り出しも簡単です。

ある土曜日のことです。若いお父さんが小学1年生の男の子を連れて来局し、お子さんの感染経験証明書のデジタル化を希望されました。ラボのPCRテスト陽性証明(コロナ感染)市内の登録検査所の陰性証明と身分証明書を持参です。お子さんが「これでもうコロナちゃんと呼ばれないね、お父さん」と言ったのですが、その「コロナちゃん」の響きが可愛らしく、私はクスッと笑ってしまいました。後で学童のいるスタッフに聞いたところ、感染した子供を学校では、「Coroni(コローニ、コロナちゃん)」と呼んで囃し立てるのだそうです。「笑い事じゃなかったのだから!」と男の子は、腕を組んで、こちらを睨んでいます。「ごめんなさい、笑ってしまって。大変だったわね。すぐに証明書を作りますね。」と、謝りました。悪気はなかったのですが、軽率でした。恐縮する私に、お父さんが気を遣ってくださったのか「薬剤師さんに、そんな怖い顔をしなくてもいいじゃないか。お父さんだってコロナちゃんと呼んでいたのだから」と言うと、男の子は「お父さんは別!」と、いまだ、おかんむり。子供に不快な思いをさせて、本当に悪いことをしたと反省しました。

ドイツでは、2度目の新型コロナワクチンを接種して、2週間経過すると免疫獲得したとされます。ースター接種は、2回目接種から6カ月経過すると受けられることになっていましたが、現在では3カ月に短縮されています。2回目接種完了証明が有効な間にブースター接種を受けないと、証明書が無効になります。ある新型コロナワクチンは1回で接種完了だったのが、今年2022年1月に規則が変更され、2回目接種をしないと接種完了にならないとの通達が出ました。2回目接種を受けないと、現在所持している接種証明書が無効になってしまいます。このワクチンを選んだ人々は、がっかりしています。

当州では、感染者のうち何人が病院へ搬送されたかにより、感染警告度が変わり、それに伴い感染予防対策も違ってきます。

現在、2回目接種完了者のデジタル証明は、9カ月有効です。しかし、感染警告度によっては、2回目接種後3カ月が経過していると、陰性証明がなければ、どこへでも行ける・入れるというわけではありません。ブースター接種完了者のデジタル証明は1年間有効、警告度が変わっても2回目接種完了者とは違い、どこへでも入れます。政府は、どうしても国民にブースター接種をさせたいようです。60歳以上の国民には、4回目、場合によっては5回目接種を奨励しています。

感染警告度とその対応情報は、変更のたびに州当局から発表され、ネットで閲覧できます。市の商工会議所からは、変更事項に目を通しておくようにと、加盟店にメールが入ります。

メルマガ新着

TOPIC月別アーカイブ