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ドイツPTA便り-18

ドイツPTA便り
18
著者
アリーン・フォーゲル

●ドイツPTA便り-18

膀胱炎のファースト・エイド、薬局で購入できるOTC医薬品

 

2018.05.14

 

膀胱炎は、主に細菌感染により起こります。解剖学的な違いにより、女性のほうが男性より膀胱炎にかかる頻度が多く、50-70%の成人女性が一生に1度は、かかる疾患と言われています。

罹患する原因には、度を超えたデリケートゾーンの洗浄やお手洗い時の不適切な衛生法があげられます。石鹸やシャワージェルの使い過ぎは、粘膜の防御機構にダメージを与え、細菌が尿路に侵入しやすくなります。多くの場合は、肛門から尿路へ細菌が移ることにより感染が起こります。

薬局へ相談に来られる方は、排尿時の痛みやヒリヒリ感を訴えます。お手洗いへ行く間隔が短くなり、頻繁に排尿感をもよおすこともあります。そういった症状が出て間もなくであれば、薬局で購入できるOTC医薬品で充分対処できます。

処方箋なしで購入できる膀胱炎治療薬は、主にハーブ製剤です。乾燥ハーブの粉末や、ハーブ(乾燥)エキスが含有されています。よく使用されるものに、ウバウルシ葉乾燥エキスの単剤や、ローズマリー葉、ラベージ、リンドウ科でTausendgüldenkraut(Centaurium erythraea)というドイツ語名の植物、これら3成分が入った錠剤などがあります。ローズマリーは、利尿・抗菌作用、ラベージは利尿・筋弛緩作用、Tausendgüldenkrautは抗炎症作用を目的に配合されています。後者3成分合剤製薬は、抗菌剤治療後の再発予防にも使われています。各薬局のレセコンに搭載されているABDAデータバンク(薬剤師会にあたるドイツ薬剤師連盟が作成した学術情報データバンク)には、ハーブ製剤に使用されるエキスの製法の違いがわかる情報が入っています。抽出に使用された溶剤の種類とハーブ量が明記されていますので、時に、製品の差別化に利用できます。用法・用量は製品によって違いますが、上記の製剤では、1日3回、1回2錠になっていますので、忘れず1日3回服用することが大切です。

また、患者さんが症状緩和にできることとして次のようなことを相談販売時にお話しいたします。

まず、病原菌を尿ともに排泄する目的で、充分な水分(2Lが目安)を取ることをお伝えします。この目的で使える治療補助用のハーブティーには、バーチ、キク科アキノキリンソウ属のSolidago virgaurea、スギナ、シソ科のOrthosiphon stamineusなどが単剤もしくは、合剤として使用されています。膀胱炎治療補助用ハーブティーは、ティーバッグになっているものや顆粒・粉末状のインスタントティーなっているものがあります。

身体の冷えを防ぎ、痛みを和らげる目的で、湯たんぽを使用できることもお伝えします。湯たんぽの他、サクランボの種や穀物を布製の袋に詰めたものもあり(サクランボ種クッション、穀物クッションと呼んでいます)、ドイツの薬局で取り扱っています。電子レンジやオーブンで温めて使います。

お出かけの際は、身体が冷えない装いにし、足が濡れた場合は、そのままにしないなど、冷えを避けることも大切です。野外でのバーベキューパーティやコンサートでは、丸太、コンクリート、椅子などに直接座らず、座布団や毛布を使用するよう勧めます。もうすぐ海水浴のシーズンが来ます。夏の相談販売では、濡れた水着は、できるだけ早く乾いたものに着がえることも付け加えます。

症状が3日たっても改善しない場合は、医師の受診を勧めます。患者さんが、お子さんの場合や、大人でも既に熱が出ていたり、尿の色が通常と違い血尿が疑われたりする場合は、すぐに医師の受診を勧めます。膀胱炎治療に処方される抗菌剤は、現在のところ、セフロキシム、ホスホマイシン、シプロフロキサシンやレボフロキサシンが主に使用されています。

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