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CP羅針盤-47

CP羅針盤
47
著者
吉岡ゆうこ

● CP羅針盤-47

 

薬局における法令遵守体制整備の手引
2021.08.02

 

前回、厚生労働省医薬・生活衛生局長通知(薬生発0625第13号「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」のお話をしましたが、厚労省のガイドラインでは個々の薬局の取り組みまでは、述べられていませんでした。その後会員の方から、なにかそれに該当するものは出ないのか、何かやらなければならないことがあるか等のご質問がありましたが、日本薬剤師会が出す予定ですので、もう少しお待ち下さいと返答しておりました。
 
日本薬剤師会は令和3年7月21日に「薬局における法令遵守体制の手引き」を発出しました。
 
 
その中に薬局開設者に求められる具体的事項として、
「薬局開設者法令遵守10か条+3か条(全13か条)」をあげています。
 
① 役員の中から薬事に関する法令遵守の責任者(責任役員)を明確化し(法人代表者は必ず責任役員になる)、
責任役員の権限・分掌をはっきりさせること
→みなさんの薬局の場合は、法人の代表者=責任役員が多いと思います。
 日本薬剤師会では「必ず」と述べています。

② 役員・職員が遵守すべき社内規定の策定と役員・職員に対して法令遵守を最優先に
経営・業務を行うという指針(メッセージ。規範)を発出すること
→法令遵守を最優先に経営・業務を行うということを社員に対して、
 メッセージとして出すか規範に記載するとよいでしょう。

③ 役員・職員が法令を遵守して業務を行なっているかどうかの監督を行うとともに、
役員・職員の業務を監督するために社内で必要な情報を集め、その情報を活用して適正な薬局業務を行うこと

④ 薬事に関する法令遵守を行うために、必要な役員・職員数を確保し、社内配置を行うこと

⑤ 法令遵守を行うための役員・職員に対する教育訓練の実施と法令遵守を理解し、
適切に実施している者への動機づけとして必要な評価をすること。
→教育訓練を実施して、適切に実施している者を評価しましょうとしています。

⑥ 役員・職員に対して業務記録の作成とその管理、保存を行わせること。
→もちろん業務記録を残されていると思います。

⑦ 必要な能力及び経験を有する管理薬剤師の選任と、管理薬剤師が必要な業務を適正に行えるようにするために
管理薬剤師が有する権限を社内で周知すること
→管理薬剤師に関しては厚生労働省のガイドラインでも薬局勤務歴が5年以上であり、
 認定薬剤師であることが求められていますが、
 このような薬剤師を確保できない場合は薬局を新規に開設すべきでないとしています。
 これは日本の薬学教育の問題でもあるのですが、ドイツでは国家試験に合格すると
 開局免許を得ることができます。薬局を一人で切り盛りできる免許をもらえるということです。
 大学時代に法律のこと、卒後実習時代に薬局のマネージメントのことまで学んで開局免許を得ます。
 アッセンハイマー慶子さんはメルマガや講演でも、新卒の薬剤師さんが何でもできると話されています。
 今後の新卒薬剤師は、大学卒業時に法令遵守や調剤報酬、
 薬局経営のことまで学んで卒業してくることを望みます。

⑧ 管理薬剤師からの意見は尊重しなければならないこと、また、その意見に基づいて必要な措置を
こうじなければならないこと。措置の内容は記録し、適切に保管すること

⑨ 医薬品の保管、販売、その他医薬品の管理に関する業務が適切に行われるようにすること

⑩ 薬事に関する法令の義務を果たすとともに、薬局で法令遵守が実行的に行われるよう
①〜⑨以外のことも含めて、必要な措置を講じること。

 
複数の薬局の開設者となっている場合は、以下のことも行うことが求められるとされています。
 
⑪ 複数の薬局を開設しているときは、全ての薬局おいて法令遵守体制が確保されていることを
確認する必要があること

⑫ 複数の薬局を開設していて、薬局開設者を補佐するも者(エリアマネジャーなど)を置くときは、
補佐する者が行う業務を明らかにすること

⑬ 複数の薬局を開設していて、薬局開設者を補佐する者(エリアマネジャーなど)を置くときは、
補佐する者が管理薬剤師から必要な情報を収集し、収集した場合、当該情報を薬局開設者に速やかに報告
させること、また、当該薬局開設者からの指示を受けて、薬局の管理者に対して当該指示を伝達すること。

 
法令遵守規定を守るための留意点として、薬局で法令違反があった場合で薬局開設者が法人の場合は、責任役員が法令違反に対する責任を負うとされています。また、薬局開設者を補佐する者(エリアマネジャーなど)はあくまでも薬局開設者と管理薬剤師との「橋渡し役」でしかなく、薬機法上権限のない、エリアマネジャーが、管理薬剤師より法人内の上席の役職・立場にある場合においてももこの関係は変わるものではないとしています。
店長、薬局長、支店長といった名称・肩書きを付した者を配置していることがあるが、薬機法上の薬局の管理者は管理薬剤師であることに留意し、日本薬剤師会としては、このような名称・役職は他の従業者や患者・薬局の利用者等に誤解を与える可能性が高く、管理薬剤師以外の者にこのような名称・役職を付けるべきではないとしています。

具体的な記載は日本薬剤師会でもありませんでしたが、薬局開設者はまずは、法令遵守を最優先に経営・業務を行うというメッセージを社員に発出していきましょう

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