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JACP医薬品情報室-41

JACP医薬品情報室
41
著者
蔵之介
● 医薬品情報室だより-41
COPD治療薬

 

2020.01.15

 

吸入ステロイド薬(ICS)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の3成分を配合したトリプル吸入薬が登場しました。2019年5月に発売されたテリルジー(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩)と同年9月のビレーズトリ(ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)です。

呼吸器疾患の概念として、アレルギーが関与する気管支喘息、長期のタバコ煙が原因のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息とCOPDを合併するACO(Asthma-COPD Overlap)があります。喘息は慢性の気道炎症が主病態で、ICSが第一選択薬になります。COPD は、労作時の呼吸困難を改善する気管支拡張薬が中心となり、副交感神経を抑制するLAMAと交感神経を刺激するLABAがあります。COPDガイドライン[第5版]では、LAMA(あるいはLABA)と優先順位を付け、喘息要素のないCOPDにICSを追加すると肺炎リスクを上げる懸念があるため、ICSの使用を喘息病態合併のACO(エイコ)に限定しました。今回のトリプル吸入薬の適応は、COPDだけです。適する症例は、喘息病態合併を含むICS/LABA、あるいはLAMA/LABAで増悪を繰り返すCOPDとされます。なお、ICSが中用量なので、重症喘息のコントロールには不十分な可能性があります。両剤は、1日1回と2回の用法の違いのほか、吸入デバイスが異なります。pMDI(加圧噴霧式定量吸入器)は、薬が噴射されるので努力呼吸は不要ですが、噴射と吸入のタイミングを合わせる必要があります。DPI(ドライパウダー定量吸入器)は、自力で吸い込むため同調の必要はありませんが、十分な流量を得るだけの吸気力が必要になります。

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