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JACP医薬品情報室-48

JACP医薬品情報室
48
著者
蔵之介
● 医薬品情報室-48
フィブラート系薬(パルモディア錠)

 

2020.06.16

 

2018年6月、脂質異常症治療薬のパルモディア錠(一般名:ペマフィブラート)が発売されました。ベザトールSR(一般名:ベザフィブラート)、リピディル/トライコア(一般名:フェノフィブラート)などに続く5剤目のフィブラート系薬剤です。

脂質異常症治療薬は、LDL-コレステロールを低下させるHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、陰イオン交換樹脂(レジン)、プロブコールと、中性脂肪(TG)を低下させるフィブラート系薬剤、ニコチン酸誘導体、EPA製剤などがあります。フィブラート系薬剤は、TGの低下作用とHDL-コレステロールの増加作用があり、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化疾患を予防することが期待されています。作用機序は、DNA転写を調節するペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)αを活性化させて、①肝臓で遊離脂肪酸からTG合成の抑制、②TGを分解するLPL(リポ蛋白リパーゼ)の活性化作用などです。PPARは、α、γ、δの3つのサブタイプがあり、αは脂質代謝(フィブラート系薬剤)、γはインスリン抵抗性(チアゾリジン誘導体)に関与しています。従来型フィブラート系薬剤は、ほとんどが腎排泄型で、PPARαへの選択性が低く、肝障害や腎障害などの副作用が懸念されます。パルモディア®錠は、胆汁排泄型であり、肝障害、腎障害の影響が軽減された薬剤です。PPARα(ピーパーアルファ)の選択性が高く、脂質代謝に関わるPPARαの標的遺伝子だけを調節するので、選択的PPARαモジュレーター(スパームアルファ)と呼ばれます。フィブラート系薬剤とスタチンの併用により横紋筋融解症のリスクが高まりますが、2018年に「原則禁忌」から「重要な基本的注意」に改訂されました。ただし、中等度以上の腎障害では禁忌になります。主としてCYP2C8、CYP2C9、CYP3Aにより代謝され、併用禁忌薬もあるので注意が必要です。

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