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JACP医薬品情報室-53

JACP医薬品情報室
53
著者
蔵之介
● 医薬品情報室だより-53
不眠症治療薬(デエビゴ錠)
2021.01.25

 

2020年7月、不眠症治療薬のデエビゴ錠(一般名:レンボレキサント)が発売されました。ベルソムラ錠(一般名:スボレキサント)に続く2剤目のオレキシン受容体拮抗薬です。

不眠症治療薬は、ベンゾジアゼピン(BZ)受容体作動薬や非BZ受容体作動薬のようにGABA受容体を介して脳全体を鎮静させる薬とメラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬のように自然に近い眠気を促す薬に分類されます。BZ系・非BZ系薬は、長い間、不眠症治療の中核を担ってきました。催眠・鎮静、抗不安、筋弛緩、抗けいれんなどの薬理作用があります。近年、記憶障害やふらつきによる転倒・骨折、長期連用時の常用量依存などが問題視され、向精神薬の多剤併用に対する減算処置など、規制が強化されています。

オレキシンは、現・筑波大学の柳沢正史、櫻井武らが米テキサス大学でナルコレプシー(居眠り病)の研究中に発見した神経ペプチドです。オレキシン受容体には2つのサブタイプ(OX1R、OX2R)があり、覚醒及び睡眠を調節しています。オレキシン受容体拮抗薬は、オレキシン受容体を阻害して、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させます。BZ系薬のような切れ味はないですが、依存性や耐性が少なく、せん妄や反跳性不眠が起こりにくい薬です。BZ系・非BZ系薬よりも安全性が高く、メラトニン受容体作動薬よりも効果発現が早い不眠症治療薬です。効果発現が早いため、就寝直前に服用します。なお、食事と同時または食直後の服用により、効果発現が遅くなる可能性があります。副作用として悪夢や翌朝の眠気、頭痛、倦怠感などがあります。ほかの眠剤と同様に自動車の運転等は避けるよう注意が必要です。デエビゴは、CYPの影響を受けにくく、ベルソムラが併用禁忌のCYP3Aを強く阻害するイトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾールが併用注意になりました。ただし、用量は1回2.5mgに減量します。デエビゴは、一包化調剤が可能です。

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