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ドイツ薬局便り-6

ドイツ薬局便り
6
著者
アッセンハイマー慶子
● ドイツ薬局便り-6
ドイツの夏休みをオーストリアで過ごす 〜オーストリアの元気なおばあちゃま、長生きの秘訣は「明るい心」〜

 

2015.09.22

 

この夏は、ドイツも猛暑日続き。来局する高齢者の方に、熱中症予防のアドバイスをすることの多い8月でした。

仕事に追われ、気が付いたら6月末の時点で、今年の夏の休暇計画は全く立てておらず、いまさら家族4人分の長期旅行予約はどこも無理そう。6月に高校を出た長女は、さっさと友達と卒業旅行に出かけてしまいました。ドイツでは年が明けると、どこの家族も夏休みの旅行計画を立て始めるのが普通。休み中、どこにも遠出できないかもしれない次女は、ブーブーです。同居している義母は、元気ではあるけれど88歳。長距離移動は難しいし、この齢で人混みは避けたい、泳げるところがいいが暑過ぎるところはどうも…などと言っている。主人といえば、おいしいものが食べられるなら、この際どこでもいいという返事。そこで、ふと思いついたのが、大学生時代に1度泊まったことのある隣国オーストリアの片田舎の民宿(写真1)。あそこなら静かで山も湖もあるし(写真2)、州都のクラーゲンフルト(写真3)まで車で15分。買い物にも食事にも不自由しない。

8月中旬なら、なんとか1週間くらい予約が取れるかもしれない…。

大学生当時、60歳半ばくらいの女性の方が、その民宿の経営者でした。17年前に近くに行く機会があり、お訪ねした際は、まだお元気だったけれど、もう経営者が代わっているかなと思いきや、まだまだご自分で切り盛りされているとのこと。予約を入れた主人がそれを伝えてくれた時には、自分でも驚きました。90歳はゆうに超えていると思われるおばあちゃま(写真4)、まだ車の運転もなさいます。足取り軽く、いつもニコニコ。手入れにかなり時間がかかるであろう民宿の大きな庭に、毎朝早起きしてホースで水やりもしています。お元気の秘密は何ですかとの問いに「Heitere Seele!(明るい心)」との答え。「薬草おばあちゃん」である義母と家庭菜園・園芸の話で盛り上がっていました。

また来ますと言ったら、「もう17年は待てないから、できるだけ近いうちに来てくださいね」と、ユーモアもたっぷりです。

 

 

 

さて、薬局を経営している家族が出かけると、やはり目に留まるのは他の町の薬局。ある土曜日に町を散策していると、当直担当の薬局がありました。町で一番歴史の長い由緒ある薬局で、観光ガイドにも紹介されています。独特の雰囲気を醸し出す古い調度品や薬瓶が薬局内を飾ります(http://auer-apo.at)。安全上の理由から当直日の時間外営業では、格子越しに応対しており(写真5、6パラソルの薬局)、時々列ができるほど患者さんが並んでいました。建物2面いっぱいのショーウインドウには、同薬局の歴史を物語る調剤器具やオリジナル製品が展示されています(写真7、8、9ウインドウ)。

オーストリアの薬局マークもApotheke(薬局)の頭文字「A」と健康の女神、ヒギエイアの手にする杯に絡みついたヘビをあしらった赤いマークです(写真10、11)。同国では、ドイツのようにPTA(テクニシャン)制度はありません。薬局内で患者さんに応対できるのは、薬剤師のみです。オーストリアの医療費抑制政策は、まだそれほど厳しいものではないそうで、ドイツと比較して薬局スタッフの労働環境はよさそうです。薬剤師の主人と共に思わず溜息をつきながら顔を見合わせました。

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