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JACP医薬品情報室-21

JACP医薬品情報室
21
著者
蔵之介

●JACP医薬品情報室だより 21

オピオイド誘発性便秘症治療薬(スインプロイク錠)

 

2018.03.01

 

2017年6月、国内初のオピオイド誘発性便秘症(OIC:Opioid-Induced Constipation)治療薬、スインプロイク錠(一般名:ナルデメジントシル酸塩)が発売されました。 

モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどのオピオイド鎮痛薬は、がん性疼痛治療において中心的な役割を果たしています。オピオイド鎮痛薬は、中枢のμオピオイド受容体を介して強い鎮痛作用を示す一方で、消化管にある末梢のμオピオイド受容体に作用し、消化管運動を抑制しOICを引き起こします。オピオイドの副作用である「悪心・嘔吐」、「眠気」、「便秘」のうち、悪心・嘔吐と眠気は比較的短期間で耐性が形成されますが、便秘は薬用量よりも低い用量で発現し、かつ耐性が生じにくいという特性があります。継続的な下剤の服用が必要になりますが、浸透圧性下剤(酸化マグネシウム等)や大腸刺激性下剤(ピコスルファートナトリウム、センノシド)には、高マグネシウム血症などの電解質異常や長期連用による耐性や習慣性などの問題があります。

スインプロイク®の有効成分であるナルデメジンは、血液脳関(BBB:Blood Brain Barrier)の透過性を低下させることにより中枢移行性を抑える目的で、モルヒナン骨格に側鎖が付加された化学構造をしています。このためオピオイドの中枢での鎮痛作用を減弱させることなく、消化管のオピオイド受容体に拮抗して便秘症状を緩和させます。OICに適応を持つ新しい作用機序の便秘治療薬として、有用性加算Ⅱを取得しました。OIC以外の便秘に対する効果は検証されていません。オピオイドによる治療中は服用を継続しますが、オピオイドを中止した場合は服用を止めます。また、脳腫瘍などでBBBが機能していない場合は、中枢に移行しオピオイドの鎮痛効果を減弱させるおそれがあります。

使用に際しては、添付文書を必ずお読み下さい

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